高まる中国軍の脅威 サイバー・宇宙・海中 ハリス太平洋統合軍司令官証言 その3
Japan In-depth / 2018年4月2日 12時33分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・中国人民解放軍は2015年サイバー攻撃、宇宙作戦を担う戦略支援部隊の創設発表。
・中国海軍の著しい海外進出は「一帯一路」に結びついている。
・サイバー攻撃、宇宙兵器の開発も進めている
【注:この記事には複数の写真が含まれます。サイトによっては全て掲載されず写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=39284でお読みください。】
アメリカの太平洋統合軍のハリー・ハリス司令官の3月15日、連邦議会上院の軍事委員会の公聴会での証言はアメリカや日本にとっての中国の軍事的な脅威を詳述した。
この証言の詳報を続ける。
【戦略支援部隊】
中国人民解放軍は2015年12月末、戦略支援部隊(PLASSF)の創設を発表した。それ以来、この特殊な部隊は中国軍全体の管理の改善に寄与し、とくにサイバー攻撃、宇宙作戦など特別な領域での能力の目覚ましい発揮に貢献している。
戦略支援部隊は他国の軍隊の宇宙利用、電磁波利用、通信システム、そしてデータのネットワーク利用などの各能力を妨害し、攪乱する機能を持つ。この総合的な部隊は中国軍が他国の軍隊との「システム対システム」の戦いに勝つことに重点をおくという戦略を反映している。
【海軍の進出と一帯一路への懸念】
中国軍はこのような新たに拡大された多様な能力を作戦化するために、とくに海軍がこれまでより多くの領域、海域で、そしてより頻繁に活動し、その機能を高めるようになった。中国海軍の海賊対処のためのアデン湾への艦艇派遣はすでに9年目を迎えた。この間、中国海軍は水上艦艇やその乗組員にとって価値の高い経験を得てきた。
出典)Google map
中国海軍の潜水艦はここ4年の間にインド洋に正式には7回、派遣された。その他、中国海軍の種々の艦艇はヨーロッパ、アフリカ、中東、アジアなどの港を数十回にわたり、訪れた。このことは中国海軍がグローバルな海軍になったことを意味するわけではない。その存在と影響とが広がっているということなのだ。その活動の多くが中国の野心的なインフラ建設計画の「一帯一路」にも結びついている。
「一帯一路」は中国中心の貿易や経済のネットワークづくりによって中国のグローバルな影響を拡大することを意図している。その活動の大半は台頭するパワーの行動パターンに合致している。だがそれらの行動自体の多くに加えて、中国の計画がオープンではないことがアメリカ側などの懸念の理由となっている。
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