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目に余る南シナ海での中国の無法 ハリス太平洋統合軍司令官証言 その4

Japan In-depth / 2018年4月5日 9時0分

 

【スプラットレー諸島の軍事化】

スプラットレー諸島の中国の拠点にはいま現在は軍用機も、防空ミサイル発射装置も、対艦ミサイル発射システムも、配備されてはいない。いま唯一、配備された兵器は短距離防衛用システムだけである。だが中国は同諸島に高度の軍事能力を即時に稼働できる大規模な軍事インフラを構築したのだ。アメリカ側としては中国が将来のある時点ではこれらの軍事用施設を明確に規定された目的のために必ず使うだろう、と認識すべきだ。

▲写真 スプラットレー諸島 出典 United States Navy

中国は同じような施設をスプラットレー諸島の他の主要な拠点、つまりファイアリークロス礁、ミスチーフ礁、スビ礁の3ヵ所に建築した。それらの施設とは、ほぼすべての軍用航空機を発進、着陸させられる長さ約3千メートルの滑走路、戦闘機格納庫、爆撃機や空中早期警戒システム機(AWACS)、輸送機などを含む大型機の支援が可能な大型格納庫、対空砲発射陣地、対艦発射ミサイル陣地、水や燃料の貯蔵タンク、弾薬保管施設、兵舎、通信システム、水底の深い港施設、そして軍事レーダー、などである。

 

【中国の無法性】

上記のスプラットレー諸島の中国基地は明らかに前方配備の軍事拠点である。中国軍のために建設され、中国軍部隊が駐屯し、南シナ海での中国が主権を主張する諸島全域に投入できる軍事的なパワーと能力の発揮を目的とする。中国側のこの動きについての説明として、「アメリカの存在の拡大に対応するために余儀なくされた軍事能力の配備だ」と主張する。中国側はとくにアメリカ海軍の南シナ海での「航行の自由作戦」の実施をその理由にあげる。だがこの中国側の主張はあまりに不誠実である。

アメリカ海軍は南シナ海での航行の自由を順守する演習は平和裏に、もう何十年も実行してきた。全世界の他の海域でも同様の演習や活動を続けてきた。他方、中国はほんのこの10年たらずの期間に南シナ海での島の埋め立てによる奪取を始めたのだ。中国の行動の全体図や実行方法から判断すると、一方的な領土拡張という目的のために、この種の行動をとっていることが明白である。

2016年7月国連海洋法に基づく国際仲裁裁判所は南シナ海での領有権紛争に関して、中国の行動を排して、フィリピンの主張を認める裁定を下した。この裁定は中国とフィリピンの両国に対して強制的な執行の権限を有するが、中国はその裁定には従っていない。

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