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目に余る南シナ海での中国の無法 ハリス太平洋統合軍司令官証言 その4

Japan In-depth / 2018年4月5日 9時0分

フィリピンは国内のミンダナオでのテロとの戦いに忙殺され、中国との関係の安定を欲するために、中国に対してはこの裁定の履行を強く迫ってはいない。中国側が紛争海域のスカーボロ礁でのフィリピンの漁民の操業を許していることも、フィリピン側に柔軟な態度を取らせているといえる。

 

【中国の強大な軍事力】

中国軍は南シナ海全域で空軍、海軍、海警、海洋民兵など、すべての兵力分野で強力な存在を誇示している。中国軍各部隊は頻繁な巡回や演習によって、南シナ海では単に駐在や占領をする海域や地域だけではなく、全域での制覇を印象づけようとしている。

中国軍は南シナ海では他の領有権主張国やアメリカの軍隊が活動する際には、その動きに抗議して、多様な威圧行動をとる。その威圧はときに過剰となり、他国の軍隊に対して中国側の占領地域から遠ざかることを要求したり、あるいはその活動について中国側の事前の許可を得ることを求めたりする。

 

【航行の自由作戦とは】

アメリカの航行の自由作戦は1979年以来、世界各地の沿岸国家の海洋領有権の主張の行き過ぎに対して平和的に実施されてきた。その対象にはアメリカにとっての友好国も同盟国も、入っていた。その作戦実施の手順は、対象国への外交的な通告、作戦内容の事前通知に始まり、どの国に対しても挑発的ではなく、脅威を与える行為ではなかった。

▲写真 航行の自由作戦で南シナ海を航行する 米ミサイル駆逐艦ステザム:USS Stethem(DDG-63)2017年3月22日 US Navy Photo 出典 USNI NEWS

このアメリカの作戦行動はグローバル規模で、開かれた海と空を保つため、そして経済繁栄を保つため、世界各国のため、アメリカのために、実行されてきたのだ。だから中国の主張には根拠がないのである。

(その5につづく)

トップ画像:ハリー・ハリス司令官 出典 U.S. Pacific Fleet

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