中国の脅威には断固対決する ハリス太平洋統合軍司令官証言 その5
Japan In-depth / 2018年4月6日 11時26分
▲写真 中国海軍空母打撃群 出典 米国海軍研究所
【中国の海洋戦力の膨張】
中国はアメリカ側のこれまでの海洋戦略面での地域的な優位に挑む戦力の強化を果たしてきた。その中国を抑止するためにはアメリカ側の太平洋統合軍も、より破壊力の強い、より敏速で強力な兵器類を装備した艦艇や航空機を必要とする。より性能度の高い長距離の攻撃用兵器類も不可欠となった。
中国は海軍という側面だけでもアメリカに同等な対抗相手となることを目指して急浮上してきた。中国海軍のより高度の技術や、その結果としてのより多様で広範な作戦、さらには戦略ドクトリンの更新などは、単に地域的な野望ではなく、グローバルな拡張を企図していることを明白に示すようになった。中国は米軍との格差を急速に埋めているのだ。だからアメリカ側も大幅な防衛力の増強が不可欠となったのである。
【総括】
アメリカは中国との間で経済のきずながあるとはいえ、私の意見では米中両国は基本的にはインド太平洋地区で影響力とコントロールとをはっきりと競いあう相手同士だ。トランプ大統領も一般教書演説で述べたように、アメリカと中国はライバルである。私自身もこの評価に完全に同意する。
私はここ数年、中国には、決してこうあってほしいという願望に基づいてではなく、あるがままに、現実的に対処すべきだと主唱してきた。言い換えるならば、アメリカの対中関係は、期待や善意に流される楽観主義ではなく、率直で冷徹な視線に基づく実利主義に基づくべきだということだ。
アメリカ側の一部の識者たちは、南シナ海や東シナ海での中国の活動を単に機会をうかがっての日和見主義の結果だとみる。だが私はそうは考えない。私は中国の活動を十分に事前に調整され、秩序だった戦略的な動きだとみる。
北京政府は近隣諸国を脅して屈従させ、自由で開かれたいまの国際秩序を崩すために、軍事力と経済力を行使しているのだ。中国は南シナ海での紛争中の海洋上の領土や空間への自国の事実上の主権を主張し、押しつけるためにこそ、戦闘力を構築し、有利な地歩を獲得しようと努めているのである。その南シナ海では中国はすでに人工的な基地を造成し、軍事化することによって、地理的、政治的な情勢を基本から変えてしまった。
▲写真 南シナ海で米空母カール・ヴィンソンから発進するF/A-18Fスーパー・ホーネット 2018年3月13日 出典 flicker:Gage Skidmore
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