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ザッカーバーグがぼやかす問題の本質 上

Japan In-depth / 2018年4月11日 13時0分

④フェイクニュースがフィードに流れないよう検閲体制を強化する

⑤政治広告には一目でわかる「政治広告」の表示を義務付ける

などの施策を説明し、議員らの理解を求めると予想される。

結論として、フェイスブックは規制を逃れられるだろう。同社は2017年に1150万ドル(約12億1565万円)という巨額のロビー活動費を投入しており、政界関係者とはズブズブに近い関係にある。

また、トランプ政権は激しさを増す米中IT冷戦において米企業の独占力や競争力をさらに強化したい考えであり、テクノロジー企業への口先攻撃とは裏腹に、トランプ大統領が米IT大手を弱体化させる規制法案に署名するとは考えにくい。

米議会や政権はある程度の「お灸」を据えて、フェイスブック問題が解決したと宣言すると予想される。

 

■ ザッカーバーグCEOの論点そらし

だが、政治的な「解決」は、フェイスブックに必然的につきまとう問題を解決することはない。世論が再びフェイスブックに対して硬化する可能性がある。

米議会証言でザッカーバーグCEOは論点をそらすため、フェイスブックのフェイクニュース対策に議員たちの関心を向けたいはずだ。ところが、フェイスブック問題の本質は第三者が作る偽の情報ではない。

▲写真 Facebook 出典 Pexels

本当に問題なのは、同社が不必要に多い個人情報をユーザーの知らない間に徹底的に収集・分析し、ユーザーが自分について知っている以上に正確なユーザーのプロファイルを作成して、広告活動に利用しているところにある。

フェイスブックはそのプロファイルを利用したターゲティングを広告主に売り込み、ユーザーが享受するフェイスブックのサービスの価値をはるかに上回る莫大な利益を上げている。広告収入が収益のほとんどを占める同社の2017年通年売上は前年比47%増の406億5300万ドル(約4兆3000億円)、当期利益も56%増の159億3400万ドル(約1兆7000億円)と大幅な増収増益であった。

これは、ユーザーが「どうせ、しがない自分のデータなど価値がない」とあきらめてよい状況ではない。フェイスブックはユーザーのすべてを知っており、ユーザーを利用して利益を上げるために、いつも追跡・監視しているからだ。

セキュリティのためと称してユーザーから提供される電話番号も、フェイスブックのメッセンジャーや傘下インスタグラムにおけるアクティビティや内容も、アンドロイドスマホにおける通話記録やメッセージの中身も、訪問したウェブサイトの履歴も、すべてがフェイスブックに筒抜けで、広告対象としてのユーザー像を組み立てるために使われているのである。

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