朝日、トランプ誤認症候群再び
Japan In-depth / 2018年4月30日 19時12分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・朝日新聞「ポンペオ氏就任暗雲」「上院外交委 長官人事否決の公算」と報じる。
・しかし外交委・本会議共に可決、ポンペオ氏は国務長官就任。
・朝日新聞記事はトランプ誤認症候群と評さざるをえない。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=39693でお読み下さい。】
日本のメディアや識者が犯すトランプ大統領についての誤断、誤認について「トランプ誤認症候群」という呼称を使って、4月25日付の当コラムで説明した。今回はその典型例をあげよう。朝日新聞4月22日付朝刊の記事(※リンクは「朝日新聞デジタル」の記事)である。
「ポンペオ氏就任暗雲」「上院外交委 長官人事否決の公算」こんな見出しの記事だった。その内容はトランプ大統領が新任の国務長官に任命したマイク・ポンぺオ中央情報局(CIA)長官は連邦議会上院の外交委員会ではその任命が否決されるだろうという予測だった。
▲写真 マイク・ポンペオ氏 出典 CIA
アメリカの政治システムでは政権の閣僚や次官補級ぐらいまでの政治任命は議会の承認を得なければならない。国務長官などまずその筆頭である。議会の任命審議はその閣僚候補の担当分野により、その分野にかかわる上院委員会でまず実施され、その次に上院本会議で採決される。国務長官の人事はまず上院外交委員会で審議されるわけだ。
朝日新聞のこの記事は冒頭で以下のように記していた。
≪トランプ米大統領が次期国務長官に指名し、対北朝鮮交渉を主導しているポンぺオ中央情報局(CIA)長官の人事案が、23日に開かれる上院外交委員会で否決される見込みが強まっている。否決されても本会議ではなんとか承認されそうだが、米朝首脳会談の実現を前に、外交トップとしてポンぺオ氏の資質を否定されることはトランプ政権に一定の打撃となる≫
以上の趣旨は簡単明瞭、ポンぺオ国務長官人事は上院外交委員会で否決されるだろう、かなり強く断言しているのだ。ところが現実をみよう。
この朝日新聞の記事が出てから24時間が経つか、経たないかの当の上院外交委員会でポンぺオ氏の国務長官人事は可決されてしまったのだ。朝日新聞の予測はみごとに外れた。これほどの外れは、誤報と呼んでよいだろう。
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