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朝日、トランプ誤認症候群再び

Japan In-depth / 2018年4月30日 19時12分

この投票では同外交委員会のメンバー合計21人のうち共和党が11人、民主党が10人、まったくの党派の別で賛否が分かれた。共和党議員11人がポンぺオ氏指名案に賛成したのだ。

朝日新聞に同情的な見方をすれば、この投票の前日まで共和党議員のうちランド・ポール氏だけが反対票を投じるような態度をみせていた。ポール議員がポンペオ氏にブッシュ政権時代のイランへの軍事介入への反対を過去にさかのぼって表明せよ、などという要求したのに対し、ポンぺオ氏が言を左右にしたことなどが気に入らなかったらしい。もしポール議員が反対を通せば、反対が11票、賛成が10票で、否決である。

▲写真 ランド・ポール上院議員 flickr : Gage Skidmore

ところがトランプ政権はこのポール議員に圧力をかけていた。そして同議員は共和党員らしく共和党大統領の任命したポンぺオ氏の就任にイエス票を投じたのだ。朝日新聞はその展開を見通せなかったのだろう。だがアメリカ議会での各議員の投票は党の公式の拘束がないから頻繁にこんな足並みの乱れをみせる。イエスか、ノーかの投票が直前まで予測できない議員の実例など、ごく普通なのだ。朝日新聞のこの記事を書いたワシントン駐在の杉山正記者はこの点を読めず、みごとに誤報を出してしまったといえよう。

だがさらに裏を読めば、朝日新聞のこの記事は反トランプの旗印を鮮明にするワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズの同趣旨の記事をそっくりそのまま転電したとしか思えなかった。両紙ともこの朝日新聞の記事が出る数日前に「ポンぺオ氏の国務長官任命は上院外交委員会で否決されるだろう」という見通し記事を載せていた。委員会で否決されても本会議ではたぶん可決されるだろうが、それでもなお国務長官人事が委員会段階で否決されるのは歴史的にも稀であり、トランプ政権への「打撃になる」という点を強調していた。朝日新聞の記事と同じ構成、同じスタンス、共通点は反トランプという要素なのである。

だがこの3紙の予測はあっさりと外れてしまった。ポンぺオ氏の人事は外交委員会での23日の可決の後、26日の本会議で可決され、就任が正式に決まった。本会議での表決は賛成57、反対42という大差だった。上院では共和党は多数派とはいえ、100議席のうち51議席だが、このポンぺオ氏指名承認では民主党側議員の数人が賛成に回ったのだった。

だが外交委員会の投票の見通しをその直前でまったく誤って予測して報道した朝日新聞記事はトランプ誤認症候群と評さざるをえない。トランプ叩き、トランプ憎しのあまり客観的な見方ができないと断じるのは酷にすぎるだろうか。

トップ画像:マイク・ポンペオ米国務長官 photo by Gage Skidmore

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