金正恩は本気か?迫る米朝首脳会談
Japan In-depth / 2018年5月1日 17時24分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2018#18 2018年4月30日-5月6日
【まとめ】
・南北首脳会談は単なる見世物にすぎない。
・北朝鮮が核兵器を放棄するとは思えない。
・米朝首脳会談での金正恩の発言が今後の朝鮮半島を決める。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=39736でお読みください。】
南北首脳会談は”Another Korean Kabuki Play”だとJapan Timesの英語コラムに書く予定だ。失礼があればお許し頂きたい。古い台本と大袈裟な仕草という伝統と外連味が売りだが、内容的には新味のないextravaganza。英語の「カブキ」に過ぎないという視点なのだが、正直なところ、現在の北朝鮮の意図を読むのは意外に難しい。
ここで視点の持ち方を間違えると全体が見えなくなる。歴史の大きな流れを見る直観に頼るか、それとも、これまでの経験に頼るかの選択だ。愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。強いて言えば、我々は今、1989年の「ベルリンの壁崩壊」を見ているのか、それとも2011年の「エジプト革命」を見ているのか、のどちらなのか。
写真)ブランデンブルク門近くのベルリンの壁に登る東西ベルリン市民(1989年11月10日)
出典)パブリックドメイン
写真)2011年1月25日、最初の大規模デモにおいて大統領退陣を求め行進するデモ隊。(エジプト ギーザ)
出典)パブリックドメイン
1989年の際は社会主義が終焉していくことをある程度確信できた。これに対しエジプトの場合は、あの種の革命は失敗するという直感が働いた。現在の北朝鮮はどちらなのだろう。東独の政権は弱体化し壁の崩壊を阻止できなかったが、エジプトの国軍は国民を敵に回さず、ムスリム同胞団の弱体化を待って反革命に成功した。
結論から言えば、今の北朝鮮はそのどちらでもない。これまでの経験からすれば、北朝鮮が核兵器を放棄するとは思えない。祖父の時代から、危機の際はいつもの「欺瞞」で乗り切ろうと考えると見るのが常道だ。だが、もし金正恩が若いゴルバチョフだったらどうか。しかし、彼が本当にゴルバチョフであれば、実は答えは簡単である。
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