ファクトチェックが必要なわけ
Japan In-depth / 2018年5月4日 21時58分
(1)ネットメディアの実践 古田大輔氏(BuzzFeed Japan編集長)
古田氏は、BuzzFeed Japanのニュース部門では、ファクトチェックやフェイクニュース対策に力を入れていると説明した上で、「フェイクニュースやデマは通常のニュースよりも拡散やシェアが多くなる。トランプ氏は自身に都合の悪いニュースをフェイクニュースと呼ぶ、ネット上で朝日新聞の森友学園問題の報道をフェイクニュースと非難する人がいるなど、現代社会ではフェイクニュースの定義が難しい。一方、フェイクニュースを否定する記事はなかなか広まらない。しかし、否定することで元の誤った記事が削除されるなど、新たな閲覧を防ぐことはできる。地道にやっていきたい」と話した。
▲写真 実際に行ったファクトチェックの結果を説明する古田氏 ©Japan In-depth編集部
(2)新聞社の実践 林尚行氏(朝日新聞 大阪社会部次長、前政治部次長)
林氏は「当社では、米国に留学した政治記者の発言がきっかけで、2016年よりファクトチェックを始めた。昨年の衆院選では、安倍首相や野党代表の発言を扱った。ファクトチェック欄を設け、記事を載せることで、実際の影響はなくても、政治家の言いぶりには変化があった。例えば、安倍首相の『憲法学者の7割が自衛隊を違憲と考えている』という発言も、当該欄で扱ったことでその後このような説明をしなくなった。多様な担当を持つ記者群と全国に広がる取材網という新聞社ならではの強みを活かし、ファクトチェックを行っていきたい。」と述べた。
▲写真 説明を行う林尚行氏 ©Japan In-depth編集部
(3)教育現場の実践 坂本旬(法政大学教授)
坂本氏は、「アメリカでは、2016年の大統領選後、子どもたちへの教育がさかんになった。10代の多くがスポンサー付きコンテンツとニュースを見分けることができないということがスタンフォード大学の研究の結果で分かった。フェイクニュースに最初に反応し、情報検索・収集のプロである図書館の力を借りて対策していくことができるのではないか」と話した。
(4)テクノロジー支援と市民参加の可能性 乾健太郎氏(東北大学大学院教授)、楊井人文氏(FIJ事務局長)
楊井氏は「ファクトチェックとはあくまで事実を確認することであり、意見を持って行うものではない。その点は十分注意しなくてはならない」と述べた。
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