北朝鮮の軍事脅威 在韓米軍司令官報告 その3
Japan In-depth / 2018年5月5日 11時48分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・ブルックス在韓米軍司令官が米上院軍事委員会公聴会で報告。
・国際的な圧力は南北朝鮮間の和解の兆しからみると一定の効果を発揮してきた。
・北朝鮮の軍事脅威の実態はなお全く変わっていない。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=39826でお読み下さい。】
ビンセント・ブルックス在韓米軍司令官のアメリカ議会上院軍事委員会の公聴会での報告をさらに紹介する。この回で終わりである。なおブルックス米陸軍大将は韓国駐留の米軍のトップであるだけでなく、同時に朝鮮国連軍司令部と米韓連合司令部の司令官をも兼ねている。
その証言で注目すべきなのは朝鮮半島ではなお北朝鮮の多様な軍事力拡大が続き、金正恩政権はその軍事力を縮小へと動かす措置をとったことは一切、うかがわれない点である。以下はそのブルックス司令官の報告である。
【北朝鮮への国際圧力】
北朝鮮が周辺各国を不安定にする行動パターンを続けることに対して、直接の影響を受ける諸国の間で、さらにはより広範な国際社会において、懸念が深まった。2017年には特に国連の安全保障理事会が北朝鮮を孤立させる努力の主導権を発揮した。
国連安保理は北朝鮮の無法な核兵器と弾道ミサイルの実験を糾弾し、国際社会の意思への一貫した反抗、そして国際法の違反を非難して、安保理決議の2345、2356、2371、2397などを採択した。こうした決議によって安保理は金正恩政権へのさらなる制裁を加えたのだった。国連制裁の完全で厳重な履行は北朝鮮に対して、より大きな圧力をかけることになった。
▲写真 北朝鮮制裁決議を採択する国連安全保障理事会 2017年3月23日 UN Photo/Manuel Elias
【北朝鮮の挑発の中断】
2017年は北朝鮮の挑発行動の73日間に及ぶ中断で年末を迎えた。ただしその中断期間は11月29日の弾道ミサイル打ち上げが例外だった。この打ち上げではミサイルは北朝鮮のそれまでの実験では最も高い高度と最も長い飛行時間を記録した。この時点から2018年3月といういまの時点まで、北朝鮮の挑発行動の中止はなお続いている。この事実は2017年全体の実験の急速なペースからみると注視に値する。
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