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トランプ氏対イラン制裁を懸念

Japan In-depth / 2018年5月9日 0時0分

トランプ氏対イラン制裁を懸念

宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)

宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2018#19

2018年5月7-13日

【まとめ】

・イラン核合意に対するトランプ政権の判断に注目。米朝首脳会談に影響も。

・日本の対イラン貿易にも悪影響の可能性。

・5月9日、3年ぶりで日中韓首脳会合が東京で開催。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=39963でお読み下さい。】

 

日本では米朝首脳会談、拉致問題とモリカケ、特に記憶喪失の元総理秘書官の話ばかりが注目されている。今週の筆者の関心は専ら、5月12日に予想されるイラン核合意(JCPOA)に対するトランプ政権の判断内容とその悪影響だ。内容次第では日本の対イラン貿易にも悪影響が及びかねない。欧州諸国の関心も恐らく同様だろう。

米国の対イラン制裁といっても、関連法令は複数の成文法や行政命令から成る。しかも制裁は二種類あり、U.S. person(米国人。但し、米国外の二重国籍者や米国法上の法人、米国企業の在外子会社も含む)が対象となる「一次制裁」と、non-U.S. person(非米国人)が対象となる「二次制裁」があるのだから、実にややこしい。

2016年1月にイランのJCPOA履行が宣言され、米国は5月から民間航空機のイラン向け輸出に関する一般許可や、特定の出版活動に関するガイダンス、農産物・医薬品・医療機器のイラン向け輸出の緩和などを実施している。一方、同年12月にはイラン制裁法が10年間延長されるなどイランに対する警戒は今も続いているようだ。

専門家によれば、イラン制裁関連法上の適用除外更新も、法律によって4ヵ月周期や6ヵ月周期があるなど、内容は非常に複雑だ。また、現時点でnon-U.S. personの米ドル使用は決済時にU.S. person(米国の銀行や邦銀の米国支店を含む)が関与しない限り制裁対象とはならないのだが、5月12日以降どうなるかは未知数だ。

先月、米財務長官は米下院歳出委員会公聴会で、仮にトランプ氏が「対イラン制裁の適用除外措置を解除したとしても、米国がJCPOAから離脱することを必ずしも意味しない」と述べつつ、「一次制裁、二次制裁の再開を意味する」としか語っていない。合意離脱にせよ、制裁強化にせよ、トランプ氏の決断でどの程度悪影響が出るかは予測不能なのである。

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