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「いずも」級軽空母は南沙・海南島攻撃に使われる

Japan In-depth / 2018年5月11日 10時56分

 

これらの目的であれば空母戦力の威力不足は問題とはならない。中華航母と同様に艦上戦闘機を運用できればそれで構わない。その点からすれば「軽空母は非力」とする批判は当たらないのである。

写真)中華航母遼寧 遼寧そのものが米国とのバランシングの為の道具

photo by Baycrest

写真)大連に回航されたヴァリャーグ(遼寧)(2004年米海軍大学レポートより)
photo by Original uploader was N328KF at en.Wikipedia

 

■ 制海権獲得には利用されない

 

また、戦時運用の見通しも誤っている。

 

これは政府説明を鵜呑みした結果だ。軽空母入手の題目として挙げた海上優勢獲得、離島防衛をそのまま信じた誤りである。

 

実際には軽空母は東シナ海での制海権・制空権獲得に投入されない。戦時には琉球列島西側は中国海空軍が優勢となる。そこへの投入は危険である。さらに中国沿岸の中国航空基地には全く近づけない。

 

本当の使い方は中国艦隊の妨害だ。普段は琉球列島の太平洋側で待機する。そして中国艦隊が琉球列島に接近してきた時にぶつける。その構えをとれば中国側は艦隊を出しにくくなる。沖縄周辺の制海権を中国に渡さないで済む。これは「フリート・イン・ビーイング」と呼ばれる戦略だ。

 

あるいは中国艦隊出現時のカウンター・アタックだ。中国海軍が沖縄所在部隊と戦っている間、あるいは中国上陸船団が離島にとりついた瞬間を狙い、軽空母で襲うのだ。

写真)ミッドウェー海戦で空母によるカウンターアタックの例

日本艦隊がミッドウェー島につきっきりになっているときにアメリカは空母で襲った。

photo by  U.S.Navy

 

それなら「いずも」級は強力な武器だ。「いずも」級は1隻あたり10機以上のF-35Bを搭載し、近距離発進で連続攻撃できる。疲弊した艦隊にとって健全な「いずも」級は厄介な相手となるからだ。中国側は「絶対に勝てる」戦力を整えない限り決戦は挑めない。

 

この点でも「軽空母は力不足」は誤っているのである。

 

■ 軽空母は南沙・海南島攻撃に用いる

 

実際には、戦時にはより戦略的に扱われるだろう。例えば南沙・海南島等への空襲である。

 

日本にとって対中決戦は厳しい。海軍力・空軍力では中国が比較優勢である。互いの全戦力を投入した決戦では日本が負ける可能性も高い。決戦は避けなければならない。日中熱戦の状況であれば、沖縄付近の制海権を賭けた艦隊決戦を回避しなければならない。

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