拉致問題、核ミサイルから切り離せ
Japan In-depth / 2018年5月16日 11時0分
日本政府はこれまでずっと、拉致>核>ミサイルの優先順位で北朝鮮と対峙してきた。しかし、実際は拉致問題より核ミサイル問題が国際政治の場で優先的に協議されているため、核>ミサイル>拉致の順になってしまっている。つまり、核ミサイル問題が解決するまでは拉致問題の解決のめどがつかない由々しき事態に陥っている。
日本政府が拉致・核・ミサイルのパッケージ方式での包括的な解決にこだわっているからこそ、2002年に拉致被害者5人が帰国して以来、16年間、拉致被害者は1人も帰ってきていないのではないか。
たとえ6月12日の米朝首脳会談で、大まかな非核化宣言や朝鮮戦争終結宣言が高らかにうたわれようと、これまでの歴史を振り返れば、核査察や非核化の検証をめぐる具体的な手段で、今後も米朝が決裂する可能性は少なからず残されている。北朝鮮の完全非核化への道は険しい。このため、日本政府はそろそろ、拉致と核ミサイルを切り離し、人道主義的な立場から拉致を先行的に解決していくべきではないか。
米国は2009年8月にクリントン元大統領、2010年8月にカーター元大統領、14年11月にクラッパー国家情報長官をそれぞれ訪朝させ、米国人の拘束者を北朝鮮から連れ帰った。日本人拉致被害者の家族は高齢化し、近年では逝かれる方も多くなっている。核ミサイル問題の解決を待つのではなく、本来なら緊急性を持って、あくまで人道上の措置として北朝鮮に救出を訴えていくべきだ。
▲写真 ジミー・カーター元大統領 出典:U.S. National Archives
▲写真 ジェームズクラッパー国家情報長官 出典:flickr LBJ
「北朝鮮に拘束された米国人3人の解放は大きなニュースだ。ただ、米国にとって北朝鮮の核開発と人質の解放は別の問題。人質解放のために核問題で譲歩することはありえない」。2012年11月から約2年間北朝鮮に拘束された米国民、ケネス・ベー氏は5月11日付の朝日新聞朝刊のインタビュー記事でこう述べている。同氏も、人道問題と核問題を切り離して考えている。
▲写真 解放後記者会見するケネス・ベ―氏(右)at Joint Base Lewis-McChord, Wash. 2014年11月8日 出典:Joint the Air Force : U.S. Air Force photo/Staff Sgt. Russ Jackson
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