米朝首脳会談、衝動的中止も
Japan In-depth / 2018年5月22日 23時31分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2018#21
2018年5月21-27日
【まとめ】
・5月16日北朝鮮は南北閣僚級会談を中止すると発表。
・米朝首脳会談開催に紆余曲折あり、衝動的中止の可能性も。
・5月22日の米韓首脳会談が、米朝首脳会談実現のポイント。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=40157でお読み下さい。】
5月16日、北朝鮮は予定されていた南北閣僚級会談を中止すると発表した。更に、北朝鮮外務次官は同日談話を発表し、もし米国が「我々を追い詰め、我々が核兵器を放棄するのを一方的に要求するなら、我々は協議への関心を失い、予定されているDPRKと米国の首脳会談を受け入れるべきか再考せざるを得なくなる」とも述べた。
これまで、米朝首脳会談の実現と成功に文字通り「前のめり」だった韓国政府は勿論、我が国の一部メディアや研究者たちも右往左往し始めている。筆者も、「どうせ、こうなることは判っていた」などと偉そうなことを言うつもりはない。だが、これまで異常なほどの楽観論を報じてきたジャーナリストには良い意味で「お灸」だったかもしれない。
幸い筆者は3月にこう書いた。「気の早い内外メディアはもう会談場所の予測を始めているが、本当に米朝首脳会談が実現するかは「お手並み拝見」。英語の格言に「悪魔は詳細に宿る」というのがある。トランプ氏に関する限り、あれだけ衝動的に決めたものは、同じく衝動的に中止される可能性がある。これだけは忘れてはならない。」
また、4月にも、「北朝鮮が容易に核兵器開発を断念するとは思えない。一定期間経過後は希望が失望に変わり、信頼が不信に急変する時が来る可能性も十分あるだろう。」と書いてきた。これからも米朝首脳会談には紆余曲折があるので、流言飛語に惑わされず、素人の俗説に付和雷同しないことが大事である。
▲写真 米韓首脳会談(2017年11月7日) 出典:Republic of Korea
22日にはワシントンで米韓首脳会談が開催される。NYTによれば、トランプ氏は米朝首脳会談が失敗するリスクについて側近や同盟国 と検証し始めたらしい。何を今更という感じだが、トランプ氏にとっては米朝首脳会談の成功でスポットライトを浴びることが最大の目的。最近の北の発言で会談が失敗する可能性を理解したのだろう。
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