日大記者会見問題とテレビ取材の在り方
Japan In-depth / 2018年5月27日 23時50分
米倉氏はそれをよくわかっていて、「自分のところの質問者が質問している絵を欲しいんだ。」という発言になったのだと思う。この、「テレビ局はしょせん『演出』として質問者を送り込んでいる」、という認識は正しい。視聴者は見ている番組のキャスターが舌鋒鋭く質問しているシーンに共感するだろう。番組制作者は、それにより、「番組の信頼度向上」を期待しているのだ。それをもってテレビ局の「演出」と捉えることは間違ってはいない。米倉氏はテレビがそういう「演出」を行っていることを知っていた。同じような質問をキャスターもしくは番組のディレクターが次々としてくることにいら立っていたのだろう。同じように感じている視聴者も多いに違いない。
実はキャスターがスタジオから飛び出して現場で取材するようになったのは最近のことだ。こうしたスタイルを確立したのは、私は安藤優子氏ではないか、と思っている。フジテレビ系列の「FNNスーパーニュース」(1987年10月~1994年3月)で安藤氏は1991年湾岸戦争を現地で取材している。当時としてはキャスターが現地取材をすることは画期的だった。
▲写真)安藤優子氏/出典)フジテレビ「直撃LIVE!グッデイ」
その後、1990年代に入り、報道番組のワイドショー化が進み、アナウンサーを現場に出してリポートさせることが徐々に増えていった。本来は現場で取材している記者がリポートするべきと筆者は思うが、ルックスや話し方のうまさなどで、「演出」上、キャスターという名のアナウンサーが現場に派遣されることが増えていった経緯がある。
安藤氏のように自分で取材をし、現場で五感を使って取材した内容を自分の言葉で視聴者に届けることは、ニュースを多面的に報道するという観点から評価すべきことだと思う。そして、多様な見方・分析を伝えることは視聴者の利益になると思われるので、番組ごとにキャスター・ディレクターが現場に出ることは良いことだと思う。したがって、各番組のキャスターが出てきて同じような質問をするな、という態度は視聴者の利益を無視していると感じる。
ただ、もし同じ局で複数のキャスター・ディレクターが同じような質問を繰り返したのだとしたら、それは批判されても仕方ないと思う。仮に同じ質問をしようと思っていたとしても、先の質問に対する取材対象者の回答を聞いたうえで、さらに突っ込んだ質問をすればよいだけの話だ。
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