米朝会談巡る朝日の印象操作報道
Japan In-depth / 2018年5月30日 8時5分
しかも北朝鮮側に対しては北朝鮮当局が発表した会談開催への「確固たる意志」という言葉をそのまま使っている。当局が使った公式用語をそのまま使うなら、その基準をアメリカ側に当てはめてしかるべきである。
朝日新聞の北朝鮮に対するこの種の奇妙な傾き報道をみると、ずっと以前にも朝日新聞が北朝鮮の独裁や弾圧の政治体制を無視して、「労働者の天国」とか「進歩的」「理想的」などと礼賛していたことを思い出す。日本在住の朝鮮系の人たちに北朝鮮への「帰国」を奨励していた時代である。もっともこのころの北朝鮮礼賛は朝日新聞だけに限らなかった。
▲写真 在日朝鮮人の帰還事業 出典:日本政府「写真公報(1960年1月15日号)」
このあたりの日本の新聞の偏向を正面から指摘した書に「日本の韓国報道は信じられない」(エール出版1981年刊)というのがあった。著者は韓国大手紙の東京特派員経験もあるベテランのジャーナリストの李 度珩氏である。李氏は日本の主要新聞のほとんどが北朝鮮の人権弾圧や好戦的な軍事挑発行動をとりあげず、あたかも民主的な国であるかのように描いているという批判を多数の実例をあげて、指摘していた。なかでも以下の趣旨の実例は的を射た、おもしろい批判だった。
「日本のある主要新聞は同じワラブキ屋根の農家を見て、以下のように書いた。『まだ貧しいワラブキ屋根の農家が残っていた』
『民族の遺産としてのワラブキ屋根の農家を大切に保存している』
上は韓国でのワラブキ屋根に対する記述、下が北朝鮮でのワラブキ屋根の記述だった」
つまり同じワラブキ屋根でも韓国では「貧しさの象徴」、北朝鮮では「民族の遺産」となってしまうのである。その背景にあるのは二重基準などという穏やかな言葉では表しきれない、徹底した差別であり、偏向だったといえる。そんな傾向は朝日新聞ではまだ消えていないのか。こんなことを思わされる「前のめり」と「確固たる意志」という両用語のコントラストだった。
トップ画像/トランプ米大統領と北朝鮮金正恩書記長 出典:White House、Republic of Korea
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