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防衛費2倍なら中国に屈したほうがよい

Japan In-depth / 2018年6月2日 11時0分

防衛費2倍なら中国に屈したほうがよい

文谷数重(軍事専門誌ライター)

【まとめ】

・自民党は防衛費について「必要かつ十分な予算を確保」すべきと提言。

・防衛費GDP2%論は無根拠。防衛費2倍増なら国民生活は破綻。

・中国との関係を改善するため、陸自予算・人員を半分にすべき。

 

【この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=40295でお読みください】

 

自民党は防衛費を倍化しろと主張している。5月25日づけブルームバーク「NATOの『GDP比2%』参考に防衛費確保を」では「安全保障調査会と国防部会はそう結論づけた」と報道している。その趣旨は「従来GDP比1%であった防衛費を2%まで増やせ」である。

だが、これは荒唐無稽な主張だ。対GDP比2%は無根拠である。また平時負担では不可能な金額である。選択肢としても非現実的である。

ではどうすればよいか?

本当に防衛費が2倍必要なら中国と仲良くしたほうがよい。日本は中国に下手に出て対立を緩和すべきだ。どうやっても勝てない敵なら味方にするしかない。

▲図 日本における主な兵力の状況 出典:平成29年版防衛白書

実際には従属の必要もない。防衛費の無駄を省けば対中対応は充分可能だ。陸上戦力を減らし海空戦力を増強すればよい。

 

■ GDPが半分に減れば防衛は充実するか?

防衛費2倍論は空論の極みだ。

まずGDP2%論は無根拠である。安全保障セクターは昔から「日本防衛にはNATOなみにGNP/GDPの2%が必要」と主張していた。だが、そこに具体的な根拠はない。

そもそも現実的な必要を反映していない。2%は冷戦期の1950年代に米国が持ち出した数字だ。「米政府は議会に説明しきれない。だから各国ともGNPの2%くらいは自己負担してくれ」といった名残でしかない。

その達成は防衛力整備とは本来は無関係である。これは次の疑問を考えれば明瞭となる。「もし仮に日本のGDPが半分になれば防衛は充実するのか?」だ。

2%は何の目安でもない。日本が大恐慌に陥りGDPが半分になれば、防衛費のGDP比率は倍になる。NATO並みに2%が達成される。それで「防衛力が強化された」といい出すのはどうかしている。

その点で無意味な主張だ。日本の防衛を確実とする、あるいは中国との対峙を続ける。それと2%、防衛費2倍は何の関係もない。

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