米朝首脳会談にサプライズなし
Japan In-depth / 2018年6月6日 0時0分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2018#23
2018年6月4-10日
【まとめ】
・日本の生存は東京からインド洋だけでなく湾岸地域までのシーレーン維持に依存。
・米朝首脳会談は中途半端の会談継続に合意する。
・アサド大統領が北朝鮮を訪問、金正恩党委員長と会談の意向。
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6月4・5日東京で開かれた国際会議で話す機会があった。詳細は今週の産経新聞コラムをお読み頂きたいが、主催は米シンクタンクCSISの太平洋フォーラム、多摩大学のルール形成戦略センターと在京米国大使館。参加した理由は同フォーラムとセンターの関係者が友人であり、テーマが「インド太平洋」であったことだ。
各国からアジアの専門家が数十人集まったが、日本人よりも米豪NZやASEAN諸国など外国人参加者の方が多く、モデレーターも米国人だったから、まるでハワイかサンフランシスコで会議しているような雰囲気だった。日本で開かれるこの種のシンポジウムとしては、実に多様性に富んでおり結構楽しめた。
「インド太平洋」なる概念は2017年11月、初のアジア歴訪中にトランプ氏が再三言及し、翌月には米国の国家安全保障戦略にも記載されるなど、同概念は今や米国の公式政策にもなっている。だが、その意味は、目的は、実現可能性は、などと皆で議論していくうちに、これらが意外に詰まっていないことが明らかになった。
誰が言い出したにせよ、近年「インド太平洋」なる概念が浮上した意味は、現状で米国が単独で、もしくは既存の同盟システムのみで、地球規模で拡大する中国の自己主張を抑止できなくなりつつあるということだ。だが、こうした「インド太平洋」なる概念は日本の安全保障にとって必ずしも十分なものではない。
▲図 自由で開かれたインド太平洋戦略 出典:「平成29年度開発協力重点方針」外務省国際協力局
日本の生存は東京からインド洋だけでなく、湾岸地域までのシーレーンの維持に大きく依存している。ところが、アジア専門家の多くは中東に関心がなく、中東専門家はアジアに関する知識が乏しい。アジア専門家だけでインド太平洋地域などという地域際的問題を戦略的に考えることには限界があることを今回も痛感した次第だ。
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