ロヒンギャ族の知られざる顔
Japan In-depth / 2018年6月24日 21時22分
こうしたロヒンギャ族の実態、特に武装集団の動きについてはほとんど報道されていないのが現状だ。
▲写真 アウンサンスーチー国家最高顧問兼外相 出典:アウンサンスーチーFacebook
■ ヒンズー教徒を異教徒として殺害
国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は5月23日、ロヒンギャの武装組織「アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)」が2017年8月25日にラカイン州北部マウンド-郊外の村でヒンズー教徒の女性や子供を含めた99人を虐殺していた、との報告書を公表した。この日はミャンマー警察施設がARSAによって襲撃された日でもある。
▲写真 ARSAのロゴ 出典:twitter : @ARSA_Official
報告書によると黒装束のARSAメンバーはヒンズー教徒多数が住むカ・マウン・セイク村にナイフや鉄の棒で武装して侵入、住民を後ろ手で縛り、目隠しをして村の一角に集め装飾品などを奪った。その後イスラム教に改宗することを約束した16人を村外に連れ出し、残ったヒンズー教徒男性20人、女性10人、子供23人(内14人は8歳以下)の計53人の喉を切るなどして次々と殺害したという。付近のバウ・キャル村でも同日女性子供を含むヒンズー教徒46人が行方不明になっており、ARSAによって虐殺されたとアムネスティではみている。
▲写真 ミャンマー・マウンド―で警戒するミャンマー警察 2017年9月21日 出典:Steve Sandford (VOA)
虐殺を逃れ、バングラデシュにたどり着いた生存者などによると、ARSAは「お前たち(ヒンズー教徒)は仏教徒(ミャンマーの多数派)と同じ異教徒であり、我々と共に暮らすことはできない」とロヒンギャ語で話をしていたという。さらにイスラム教への改宗を約束して解放したヒンズー教徒には「何か聞かれたらミャンマー国軍に攻撃されたと言え、さもないと殺す」と脅迫したという。
■ 一向に進まないロヒンギャの帰還事業
バングラデシュ東部のコックスバザールにはロヒンギャ族のための難民収容施設が設けられ、バングラデシュ政府や国際社会からの援助に支えられ避難生活が続いている。
ミャンマーとバングラデシュ両国政府による難民帰還プロセスも始まり、第一陣は帰国したものの、定住地域が制限され移動の自由が保証されなかったり、住民登録手続きが煩雑過ぎたりするなど問題点も多く、帰還は一向に進んでいない。なにより「戻れば再びミャンマー軍による人権侵害が心配」というロヒンギャ族の心理的要因も大きいとされている。
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