「恐怖」こそカギ 金正恩氏が懇願した会談 米朝首脳会談総括 その2
Japan In-depth / 2018年6月28日 10時14分
2018年1月に金氏が世界各国の北朝鮮大使館に「トランプ政権による北朝鮮軍事攻撃の可能性について至急、調査せよ」という命令を出したという報道も、完全な確認こそできないが、「金正恩氏の恐怖→→トランプ大統領との首脳会談の切望」という因果関係を指し示す。
金氏が急に電源のスイッチの入った電気人形のようにあたふたと中国の習近平主席や韓国の文在寅大統領と会談を重ねたことも、自己生存のために他国をタテとして巻き込んで、アメリカの攻撃をとにかく防ぐため、という説明が最も説得力を持つようにみえた。ワシントンの官民の専門家たちの見解もこの因果関係では程度の差こそあれ、一致している。要するにトランプ政権の風変りだが強硬な姿勢に金正恩氏が恐怖を感じ、前例のない妥協や譲歩の構えをみせ始めた、ということである。
このような米朝首脳会談開催までの流れの経緯と構造を知っておくことは同会談の成果や意味を測るうえで欠かせない。会談後の共同声明に非核化の手続きの具体的な語句が入っていないから首脳会談自体がアメリカ側にとって失敗だったとするような解釈は、「木だけをみる」という浅薄な断定に思える。上記のような「森」にあたる全体像を考慮の要素に入れていないからである。
(その3に続く。その1。全5回)
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