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トランプ政権はCVIDでの徹底非核化は変えず 米朝首脳会談総括 その3

Japan In-depth / 2018年6月28日 23時0分

これらの批判に対してトランプ政権は正面から否定する。CVIDは決して放棄しておらず、この原則に基づく方法だけが実効ある非核化だというのだ。

▲写真 ドナルド・トランプ米大統領 出典:flickr Matt Johnson

トランプ大統領自身、米朝会談直後の記者会見でその点を問われ、「声明にCVIDという用語が入らなかったのは単に時間が足りなかったからだ」と説明した。声明にある「完全な非核化」が実際はCVIDを意味するのだとも述べた。

大統領はそのうえでCVIDを構成する主要素である「検証可能」についても、こんごの早い時点で検証作業が始まると明言し、その査察には国際原子力機関(IAEA)の代表だけでなく、強制力のより強いアメリカ側の代表も加わると強調した。要するに声明にCVIDの記述がなかったことは、決してCVIDがなくなったわけではないという言明だった。

共同声明は「完全な非核化」について「朝鮮半島の」というに留め、アメリカ側が一貫して求める「北朝鮮の」という特定をしていなかった。トランプ大統領はこの点について米側が南北首脳会談での板門店宣言で金委員長が「朝鮮半島の非核化」を誓約したことを強調し、米側としてはその内容はあくまで「北朝鮮の非核化」だと解釈していることを強調した。

万が一、「朝鮮半島の非核化」という概念までが北朝鮮の思惑どおりに米朝間で受け入れられた場合、北朝鮮は「韓国の非核化には米韓同盟の破棄までが必要」という旧来の主張を持ち出す可能性もある。だがいまのところ北側はその気配をみせていない。米側も非核化の対象はあくまで北朝鮮の核兵器だとする立場を揺るがせにしていない。

北朝鮮の非核化の推進スケジュールの時間的な見通しについて、トランプ大統領は「金委員長は帰国してすぐにその作業を始めるだろう」と述べ、非核化前進のペースについて「非常に、非常に、速く」と強調した。とにかく数週間、あるいは数ヵ月の時間帯で実際の非核化を示す作業が外部からの査察と検証を伴いながら始まるという意思表示だった。

▲写真 ジョン・ボルトン氏 出典:flickr Michael Vadon

アメリカ側がCVIDを揺るがせにしていない証拠の一つは、ボルトン補佐官が北朝鮮との折衝で中心的な役割を果たしていることである。日本の主要メディアの一部は米朝会談の直前に「トランプ政権でのボルトン外し」を大きく報道し、米朝首脳会談にはボルトン氏は加わらないとの予測を伝えた。

ところがシンガポールでの会談ではボルトン氏はトランプ大統領のすぐ左側に座っていた。大統領自身も会談後の会見でボルトン氏の名前を再三あげて、それまでも、これからも北朝鮮非核化交渉では同氏が中心になっていくという方針を強調していた。

ボルトン氏はCVIDの強い主唱者である。リビアのカダフィ政権の非核化でも主役を果たした。今回もボルトン氏が北と折衝している限り、CVIDの放棄は考えられない。こんごの米朝間ではあくまでCVIDが基軸となって北朝鮮の非核化が進められるということだろう。ただし北朝鮮は最大限の面従腹背や時間延ばしを試みることは当然、予測される。

(その4に続く。その1、その2。全5回)

トップ画像/首脳会談に臨む金正恩北朝鮮委員長とトランプ米大統領(2018年6月12日)出典:Dan Scavino Jr.

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