外交交渉には「修羅場」の経験不可欠
Japan In-depth / 2018年7月3日 16時27分
〇欧州・ロシア
2-4日にイラン大統領がスイスとオーストリアを訪問する。当然議題はイラン核合意と原油生産量の行方だが、イランは核合意についてEUの支持を必要としている。トランプ政権とイランとの間では今後EUに対する働きかけをめぐる綱引きが激化するのだろうが、どうやら欧州に譲る気はなさそうだ。
写真)イランのハサン・ロウハーニー大統領
出典)BotMultichillT
〇中東・アフリカ
4日にヨルダン外相が訪露し、外相会談を行う。5日にはトルコが大統領選挙と議会総選挙の結果を発表し、8日には新議会の第一回会合が開かれるという。このところトルコからの選挙関連追加情報は乏しいが、エルドアン大統領は欧米諸国との関係をどうするつもりなのだろう。改善するなら今がベストだと思うのだが。
写真)アンカラの首相官邸で記者会見をするエルドアン
出典)Minister-president Rutte from Nederland
〇東アジア・大洋州
米有力紙が米専門家による衛星写真分析の結果、北朝鮮が北東部にあるミサイル製造施設の拡張工事を進めていると報じた。専門家によれば「北朝鮮が核開発やミサイル計画を廃棄する考えがないことを示している」のだそうだが、別に驚かない。そもそも北朝鮮がたった一回の首脳会談で核兵器廃棄を約束するはずがないからだ。
もう一つ気になるニュースがある。米国務省が米国の対台湾窓口機関である「米国在台協会(AIT)」の事務所警護のため米海兵隊に要員派遣を要請したそうだ。海兵隊を派遣しても、それが直ちに「大使館」となる訳ではないが、これも米国の中国に対する意図的な揺さぶりなのだろう。米台・米中関係も要注意である。
〇南北アメリカ
4日は米国独立記念日だが、6日に米国が追加関税賦課に踏み切れば、米中貿易戦争が本格化する。更に、来週9日には保守派最高裁判事の引退に伴う後任人事が発表される可能性もある。このようにして、トランプ氏は次から次へと新しい話題を提供し、辻褄の合わない話を過去のものにしていく。この能力は大したものだ。
そういえば、先週トランプ氏はツイッターで
「サウジのサルマン国王とたった今、話をした。イランとベネズエラでの混乱のため、サウジアラビアには穴埋めとして最大200万バレル程度の原油増産を要請したいと説明した。原油価格は高すぎる!国王は同意した!」と述べた。ホワイトハウスは撤回したが、では一体何を信じれば良いのか。
[embed]http://twitter.com/realdonaldtrump/status/1013023608040513537[/embed]
出典)Donald J. Trump Twitter
〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
トップ画像)タジキスタンの人達と秋野豊氏(中央) 出典)秋野豊ユーラシア基金アーカイブFacebook
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