言いたい放題のトランプ外交
Japan In-depth / 2018年7月22日 13時25分
嶌信彦(ジャーナリスト)
「嶌信彦の鳥・虫・歴史の目」
【まとめ】
・トランプ氏、NATO加盟国国防支出の早期増額を主張。
・アメリカはNATOや自由圏諸国が重視してきた理念を無視。
・“米第一主義”と“取引に重きを置くトランプ外交”に戸惑い広がる。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=41158でお読み下さい。】
7月11日からベルギーで開かれたNATO(北大西洋条約機構)の首脳会議でトランプ大統領は、相変わらず言いたい放題でEUとの溝を深めている。
今回のNATO協議では、「EUの防衛負担はアメリカに比べ少ない。加盟国の国防支出をGDPの2%に増やすよう前倒しすべきだ」と提案。一度は折合いがつかなかったが、トランプ大統領は再度早期増額を迫り、緊急会合で合意したと語った。しかしマクロン仏大統領やコンテ伊首相は「合意はなかった」と話しており理解が食い違っている。この席でトランプ大統領は「アメリカはNATOにカネを払いすぎている。同盟国はGDPの4%を国防費に回すべきだ。」と語ったともいわれている。
■ “ドイツはロシアの捕虜だ”と批判
このほかにもトランプ氏は「WTO(世界貿易機関)はアメリカを傷つけるために設立された。経済大国の中国がWTOでは経済発展途上国扱いになっているのも問題だ」と批判。さらにドイツを「ロシアの捕虜だ」と述べ、ドイツのGDPに占める国防費の低さ(1.24%)を攻めて「アメリカは3.50%も供出している」と不満をぶつけた。
▲写真 独メルケル首相とメラニアトランプ夫人 2018年7月11日 出典 facebook: The White House
NATOは第二次大戦後の冷戦時に旧ソ連圏と対抗するために創設した軍事同盟で本部はベルギーのブリュッセルにあり旧ソ連圏に属していたチョコやバルト3国など29カ国が加盟している集団安全保障体制で、加盟国が武力攻撃を受けた時は、全加盟国への攻撃とみなし反撃することになっている。2010年に決めた新戦略ではテロやミサイルなどの攻撃も新たな脅威とし、ミサイル防衛システムの開発に力を入れている。
▲図 アスター30 SAMP/T 360度防空システム ©NATO
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