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“北”の有力カード 米兵の遺骨返還

Japan In-depth / 2018年7月25日 0時34分

“北”の有力カード 米兵の遺骨返還


久保田るり子(産経新聞編集局編集委員)


【まとめ】


・北朝鮮の狙いは「遺骨ビジネス」と交渉主導権。


・遺骨返還は非核化遅延の隠れ蓑。米世論の軟化狙う。


・米朝協議は“北”が仕掛ける「長期化の陥穽」に嵌まったか。


 


【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては記事説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=41176でお読みください。】


 


米朝がシンガポールで合意した朝鮮戦争の米軍兵士遺骨返還は、非核化問題を全く進める気のない北朝鮮側の有力な交渉カードになったようだ。



▲写真 2018年6月12日 米朝首脳会談(於:シンガポール)出典:facebook @WhiteHouse


 


■ 北朝鮮、米との遺骨交渉で主導権掌握が狙い


今週27日の朝鮮戦争休戦協定65周年に、南北軍事境界線の板門店で北朝鮮側から「50~55柱」(米軍事紙)が米軍に引き渡される方向だが、北朝鮮はこの間、不誠実な対応で米側をいら立たせている。米国が板門店に送った棺は受け取らない、遺骨協議はすっぽかす、遺骨数の約束は守らない−などで揺さぶりをかけたからだ。


シンガポールの共同宣言では「遺骨の即時返還することを含め、遺骨の収集を約束する」ことで合意した。これに従い米側は6月24日に板門店に木製の棺100個を届けた。だが北朝鮮は取りに来なかった。シンガポールで北朝鮮側は最初の遺骨返還について約200柱を約束したとされる。しかしその後はナシのつぶて。7月6,7日に訪朝した米ポンぺオ国務長官が7月12日の遺骨問題の実務協議開催を決めたが、北朝鮮側はこの協議を無断で欠席、勝手に延期した。



▲写真 北朝鮮側と会談するポンペオ米国務長官 出典 twitter:  @SecPonpeo


遺骨返還はシンガポールで唯一決まった具体的な措置である。自国民の安否に民主主義の価値を置く米国は、戦争で命を落とした戦死者の遺骨収集には最善を尽くすことで知られる。これを知る北朝鮮は、シンガポールの目玉に朝鮮戦争の米兵遺骨返還を最優先で入れた。


しかし具体的な段階に入ったとたん駆け引きに転じた。遺骨返還で主導権を握り、小出しにして長期化をはかっている。


 


■ 「遺骨ビジネス」でトランプ大統領にはサービス?


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