時差BIZという名の「対症療法」 東京都長期ビジョンを読み解く!その61
Japan In-depth / 2018年7月27日 11時58分
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
「西村健の地方自治ウォッチング」
【まとめ】
・東京都が時差BIZを開始。
・そこそこ成果はあるが、対症療法にしか過ぎない。
・まずは大江戸線で結果を出してみては?
【注:この記事には複数の図や写真が含まれています。サイトによっては写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=41235でお読み下さい。】
東京都が「時差BIZ」を本格化させている。
このネーミング。センスがあるように見えるが・・・。何とかBIZっていつからはやり始めたのだろう。私が若いころは、BIZ=businessと聞いてカッコ悪いと思ったが、時差ビジネスですか・・・いったいなんだろう。
■ 時差BIZとは?
東京都の「時差BIZ」の目的は企業や鉄道会社と連携して通勤ラッシュ緩和を目指すこと。時差Bizとは、「通勤ラッシュ回避のために通勤時間をずらす働き方改革のひとつです」というのが公式見解である。具体的には、鉄道利用者が集中する時間帯を避けて時差出勤の推奨などをサポート・・・・。ただし、強制力はない。あくまでも推奨。簡単に言うと、企業に時差通勤を誘導するという感じといったところ。
図)鉄道通勤者の出社時刻(23区)
出典)東京都
平成29年度は7月11日から7月25日の実施で約320社が参加し、30年度:昨年の倍の740超の企業が参加を表明しているそうだ。満員電車の回避、通勤時間の有効活用、企業側には生産性向上のメリットがうたわれている。実際、成果が出ているそうで、通勤時の快適性向上が58%、仕事の効率性向上が54%とのこと。
しかし、取組みによる現象の前後比較結果は残念ながら見られなかった。「取り組んだ」量は明らかにされているが、取り組みの結果どうなったのかがわからない。定性的な効果、定量的な効果(アウトカム)レベルのものはわからない。
写真)ラッシュ時の新宿駅
出典)Chris 73
■ 時差BIZでは本質的な問題解決にはならない
たしかに、運動としては広がっている。今までこういった活動はなかったという意味で評価はできる。ちなみに29年度は6000万円、今年度は9000万円の費用が掛かっているが、東京でのこうしたキャンペーンはこれだけかかるのはおかしいとは思うが、いったん受け入れよう。
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