韓国経済迷走 文政権支持率急落
Japan In-depth / 2018年8月5日 12時14分
支持政党がない浮動層の世論が背を向けたのが最大の理由だ。今回調査で浮動層の職務否定率(44%)が肯定率(32%)を初めて逆転した。地域別では釜山・蔚山・慶南(43%)と大邱・慶北(39%)で否定率が高く、ソウル(31%)も否定率が30%を超えた。それに対して、光州・全羅道(83%)と大田・世宗・忠清(71%)で肯定率が高かった。
職務遂行を肯定的に評価する理由は「北朝鮮との対話再開」(12%)、「外交が良い」(11%)、「対北・安保政策」(9%)の順で現れ、否定的に評価する理由は「経済/民生問題の解決不足」(38%)、「対北朝鮮関係・親北朝鮮性向」(11%)、「最低賃金引き上げ」(6%)の順だった。
与党である「共に民主党」の支持率も前回比7ポイント急落して41%と昨年5月の大統領選挙以来最低だった。ソウルは50%から35%で、釜山・蔚山・慶南は51%から30%に落ち、下げ幅が大きかった。韓国ギャラップは、文大統領の職務肯定率下落と共に党内紛争が変数として作用したようだと分析した(月刊朝鮮ニュースルーム2018年8月3日)。
2、迷走する文在寅政権の経済政策
1)文政権の目玉政策の「雇用」に赤信号
文政権の「所得主導成長政策」の核心の一つは賃上げだ。しかし公約した水準には至っていない。文在寅大統領は7月16日、国民に対し「(大統領選の)公約を守れず申し訳ない」と陳謝する事態に追い込まれた。文政権は、支持基盤の労働者層への支援として、2020年に最低賃金を、日本を上回る1万ウォン(約1000円)に引き上げると約束していたが、もともと無謀な目標だったために挫折した。達成不可能なことは当初から予想されていたことだ。
▲写真 経済政策について語る文在寅大統領 2018年7月16日 出典:韓国大統領府
目標には至らなかったとは言え、それでも最低賃金の引き上げは急ピッチで進んでいる。韓国政府の最低賃金委員会は7月、19年の最低賃金を前年比10.9%増の8350ウォン(約835円)にすると決めた。18年から2年連続の2桁増で、先進国のなかでは突出して高い伸び率だ(注1)。
7月1日からは労働時間の上限を残業時間を含め週52時間に短縮することを柱とした改正勤労基準法も施行された。従業員300人以上の企業などに適用され、2021年までに中小企業にも順次拡大される。最低賃金の引き上げと労働時間の週52時間制で零細企業と自営業者らの経営は委縮破綻し、むしろ雇用の縮小を招いている。雇用指標は、就業者の月平均増加数の見通しが18万人と、14万人も下方修正された。
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