韓国経済迷走 文政権支持率急落
Japan In-depth / 2018年8月5日 12時14分
※注1 日本での最低賃金は、東京(985円)、大阪(936円)、名古屋(898円)、京都(882円)、横浜(870円)など一部大都市圏を除くと最低賃金絶対額の側面でも日本のほとんどの地域を圧倒する。47都道府県のうち15位の水準だ。福岡県(814円)、奈良県(811円)、福井県(803円)、沖縄県(760円)など日本の中堅都市と観光中心地の水準を大きく上回る。
2)沈下する経済活動
韓国統計庁が7月31日に発表した6月の産業活動動向によると、設備投資が前月比5.9%ダウンし、4カ月連続で減少した。2000年9-12月以来18年ぶりだ。前年同期に比べると13.88%も減少している。また産業生産は前月を0.6%下回り、3カ月ぶりに減少に転じた。自動車と化学製品の生産が低調で、製造業生産が前月比0.88%減少した影響が大きかった。
実体指標だけでなく、企業の心理も急速に冷え込んでいる。韓国銀行が同日発表した7月の企業の景況感指数(BSI)は全体で75となり、前月に比べ5ポイント悪化した。これは2015年6月の中東呼吸器症候群(MERS)流行当時以降最大の落ち込みで1年5カ月ぶりの低水準となった。
元国策シンクタンク院長は「最低賃金引き上げと週52時間制導入の影響以外に説明しにくい数値だ」と指摘した(朝鮮日報2018年7月31日)。
3)財政にも赤信号
それでもポピュリズム政策に突き進む文政権は、最低賃金の引き上げだけでなく、低所得者世帯に税金還付方式で給付を行う「勤労奨励税制(EITC)」の対象と支給額を現在の2倍に拡大するほか、基礎年金の引き上げ計画を前倒しで実施する、としている。
この所得支援策は、勤労奨励の拡充だけで3兆8000億ウォン(約3800億円)の財源が必要で、個別消費税の一時引き下げなど他の関連措置を含めると財政支出は10兆ウォン(約1兆円)に達するとの見方も出ている。財政悪化につながるのは必定だ。
韓国経済の諸指標が不況を色濃く示しているにも関わらず、物価は引き続き上昇している。韓国ではいま不況の中の物価高(スタグフレーション)という危険な状況が進んでいるということだ。
農産物、外食費、ガソリン代などの価格が全般的に上昇を続けている。猛暑や原油価格の上昇に加え、最低賃金引き上げが複合的に作用した結果だ。利益が増えても物価が急騰すれば実質所得の底上げを図ることは難しい。韓国政府の悩みは深まるばかりだ。
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