トランプ叩きの危険性
Japan In-depth / 2018年8月11日 22時31分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・安倍首相の外交スピーチライター著書が指摘するトランプ叩きの非常識。
・トランプ氏への罵詈雑言は米民主主義を貶め、草の根米国人を罵るに等しい。
・安倍首相のNY単身乗り込みは、自らの心眼でトランプ氏を見極めるため。
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安倍晋三首相や安倍政権の実態に内部から光を当てた、興味ある本が出版された。安倍首相の至近に長年あって、外交スピーチライターを務めてきた谷口智彦氏が書いた『安倍晋三の真実』(悟空出版)という書である。内容は盛りだくさんだが、とくに注目されるのは日本の一部にあるトランプ大統領へのののしりに対して、安倍首相自身の考えとして「トランプ氏を生み出した米国民主主義までを貶める」と非難している点だった。
▲写真 谷口智彦氏 出典:慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科
『安倍晋三の真実』の著者の谷口氏は2013年に第二次安倍政権に入り、内閣審議官として安倍首相の英語での外交演説の草案づくりを手がけてきた。あくまで安倍首相自身が演説の骨子を作成するとはいえ、谷口氏が文章を起草し、アメリカ議会、国連総会、オーストラリア議会などでの英語演説を作ってきた。
▲写真 「安倍晋三の真実」(悟空出版)出典:amazon
谷口氏は現在は内閣官房参与という肩書だが、これまで一貫して安倍首相の近くにいて、頻繁で密接な協議を重ね、主要な対外演説の草稿を完成させてきた。谷口氏は「日経ビジネス」で編集委員やロンドン特派員を務めたジャーナリスト出身で、その後、学究生活や外務省副報道官という職歴を経て、安倍首相に起用された。
同書は安倍氏の言動や思考を多様な角度から紹介しているが、最も大きな比重をおいた点の一つは安倍氏とトランプ大統領との関係だった。同書は安倍氏がドナルト・トランプ氏という人物を政治リーダーとしてきちんと認め、しかも敬意を表して、信頼関係を築いていったことについて、以下のように伝えていた。
「安倍総理が自らに問う問いとは、『誰が米国の大統領であれ、その大統領と、最も強い関係を結ぶには、自分はなにをなすべきか』という、いつも自分の課題として戻ってくる問いです。それ以外ではあり得ません」
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