トランプ叩きの危険性
Japan In-depth / 2018年8月11日 22時31分
「安倍総理はドナルド・トランプ氏が大統領になったときには、トランプ氏の懐へと真っ先に飛び込み、堂々と日本の立場を説明したうえ、トランプ氏に『シンゾー、お前はウォリアー(武士)だな』、『いざとなったら尖閣も含め、日米安保条約の規定通りに日本を守る』と言わせたことです」
だが、日本側一般ではトランプ大統領を非常に厳しくこきおろす論評がなお盛んである。トランプ大統領の政策を批判するならまだわかるが、人格そのものを誹謗といえる悪口雑言でののしる。しかも外交やアメリカに詳しいとされる特定「識者」たちのトランプ叩きなのだ。私自身が最近の日本のメディアで聞いたり、読んだりしただけでも以下のような実例があった。標的はみなトランプ大統領である。
「無知で愚かだ」
「精神年齢が低い」
「野卑である」
「英語は小学生並み」
「安全保障をなにもわかっていない」
「殿、ご乱心」
こういう言葉をいきなりぶつけるのだから、人格攻撃を越えて、ヘイトスピーチ(憎悪表現)にも近い。同じ言葉を日本の政治家の固有名をあげて、浴びせたらどうかを考えれば、その非常識は明白である。
▲写真 米大統領選に勝利したトランプ氏@Fayetteville North Carolina(2016年12月6日)出典:トランプ大統領Twitter
このようなトランプ誹謗に対して『安倍晋三の真実』の著者の谷口氏は安倍氏自身の思考を反映させる形で次のように述べていた。
「ドナルド・トランプ氏を悪しざまに言う人たちは、トランプ氏を熱い思いで支持した草の根の米国人たちに向かって、罵詈雑言を投げかけるに等しいわけです。トランプ氏を生み出した米国民主主義まで、貶めようというのか」
「安倍総理は2016年11月、大統領選挙当選早々のトランプ氏を、ニューヨーク・マンハッタンのトランプ・タワー最上階に通訳1人を伴っただけで単身訪れたとき、まずは氏を大統領に就けた米国制度に依然として深い敬意を示していました。他方、メディアのかまびすしいトランプ報道にはあえて耳を傾けず、自分の心眼でトランプ氏を見極めようとして会いに行ったのです」
▲写真 アンドリュー空軍基地に向かう大統領専用機内での日米首脳(2017年2月10)。トランプ大統領就任直後にも安倍首相は訪米した。出典:トランプ大統領Twitter
安倍首相側のこの対トランプ認識は前記の悪口雑言とはあまりに対照的である。確かにトランプ氏がどんな資質の人物であっても、世界でおそらく最も民主的なアメリカ大統領選挙で選ばれた国家元首なのである。その外国の最高指導者を日本の外交官崩れが「無知で愚かだ」などとこきおろすことは、その元外交官たちが最近まで仕えていた安倍首相の態度とくらべると、ますます非常識にみえてくる。
トップ画像:日米首脳会談ワーキングランチ@米・フロリダ州(2018年4月18日)出典 首相官邸英語版Twitter(PM’s Office of Japan)
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