ゴーストップ事件をご存じですか? 昭和の戦争・平成の戦争 その2
Japan In-depth / 2018年8月14日 21時6分
▲写真 昭和45年年11月25日、三島事件当日に市ヶ谷駐屯地にて演説を行う三島由紀夫氏 出典:ANP scans 8ANP 222
ただ、警察にとっての自衛隊が、表現はよくないが一種の監視対象で、信頼関係が築けていないということは、やはり問題だろう。オウム真理教が危険視されはじめた当初、山梨県上九一色村の、第7サティアンと呼ばれた「宗教施設」で、実は化学兵器の開発が進められているのではないか、という疑惑が浮上した。その際に、警察上層部が自衛隊の化学防護隊に密かに協力を仰いだと言われている。現地に赴いた自衛隊員は、問題の施設を一別するなり、ダクトの数と規模だけで、「これは研究所なんかじゃない。れっきとした工場だ」と断じたという。
▲写真 平成25年7月10日 化学防護衣で駐屯地内を練り歩く自衛隊の新隊員 出典:Album 教育訓練等
一連のオウム事件から20年以上が経ち、幹部のほぼ全員に死刑が執行された今、こんなことを言っても詮ないことかも知れぬが、もっと早く、国民に広く情報が開示される形でこうした査察が行われていたならば、地下鉄サリン事件(1995年3月20日)などは未然に防げたかも知れない。少なくとも、松本サリン事件(1984年6月27日)に際して、警察庁から自衛隊に、「長野県警の見立ては、第一通報者の会社員が農薬の調合を間違えたか、故意に有毒ガスを発生させたせいだということだが、本当にそんなことが起こりえるのか」との照会がなされていれば、無実の、それも被害者が長期間拘留されるという事態はあり得なかった。
憲法改正論議の前に、日本の治安を守り、国民の生命財産を守るとは具体的にどのようなことなのか、政治家、そして警察・自衛隊の関係者には、ここでもう一度、真剣に考え、議論してもらいたい。
(その1の続き)
トップ画像:1933年11月18日、ゴーストップ事件の和解のため、歩兵第8連隊にて握手する増田曽根崎警察署長(右)と松田四郎歩兵第8連隊長 出典 『昭和 二万日の全記録 第3巻』講談社、1989年、p.181
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