1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

茶道が果たす大きな役割 裏千家第15代前家元 千玄室大宗匠(上)

Japan In-depth / 2018年8月22日 11時48分

 


千氏は、「当時は『生きて帰った』ということが忸怩たる思いだった。」と述べ、隆一郎氏のその言葉に深い共感を示した。自身も多くの戦友を亡くし、今なお罪なき民間人を巻き込んでいる数々の戦争について、千氏は「地球上で戦争を起こすということ自体が人間にとっての増長である。」と述べ、争いの絶えない現在の世界情勢に大きな懸念を示した。


 


また、千氏は、佐藤栄作氏が裏千家、岸信介氏が表千家、というように二人の歴代総理がお茶を好んだことを明かした。そして、隆一郎氏がそれについて、「信長や秀吉ら昔の武人がお茶に親しんだように、政治家もお茶をやるべきだ。」と話していたエピソードに触れ、現代の政治家も日本文化への造詣を深める必要があるとの考えを示した。


 


昭和18(1943)年、兵隊の供給がひっ迫する中、千氏は徴兵適齢期の20歳になった。20歳になった千氏は徳島の航空隊に入隊し、本来は1年3か月程かかる訓練内容を10か月で終了させるため、激しい訓練を繰り返したそうだ。


 


昭和20(1945)年3月、戦局が悪化し、徳島の航空隊も特別攻撃隊を編成するようになった。特攻隊への参加を上官から問われた時、「『熱望、希望、否』の三択が書かれた紙が配られ、自分は『熱望』に丸を付けた。」と千氏は明かし、隊員が特攻に志願する時の心情を赤裸々に語った。結局、全員に特攻隊参加の命令が下り、それ以降は全員で特攻のための突っ込みの訓練に励んだという。


 


特攻に出撃する際、千氏に戦友たちはこう頼んだ。「おい、千。茶を立ててくれ。茶を頂くのはこれが最後だ。」涙を流す彼らにお茶をたてる自身の様子は、陣中茶箱を持って兵士らにお茶を飲ませた450年前の千利休の姿と重なったと言う。


 


「生きて帰ったらお前の茶室で茶を飲ませてくれ。」と、出撃直前に戦友が千氏に語った言葉は今でも耳から離れないそうだ。その言葉を聞いた時、自分たちは生きては帰れないのだ、と実感したと千氏は述べた。


 


「終戦記念日が近いこの放送日に、私たちは後世に向け、何をしていくべきか考える必要がある。」と細川氏は締めくくった。


 


来週も千氏をゲストに招き、茶道の果たす役割などについて伺う。


(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2018年8月11日放送の要約です)


 


「細川珠生のモーニングトーク」


ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分


ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php


細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/


細川珠生ブログ  http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください