「情報敗戦」を見直そう 昭和の戦争・平成の戦争 その3
Japan In-depth / 2018年8月23日 20時5分
▲写真 ルーズヴェルト大統領 1993年12月27日 出典:Elias Goldensky
いずれにせよ、真珠湾攻撃を皮切りに、開戦当初の日本軍は連戦連勝であったのだが、その裏では、開戦前から情報戦で後れをとっていたというわけだ。
その日本軍に対して、米軍が一打逆転に成功したのが、1946年6月のミッドウェー海戦である。この時も、日本軍はまず情報戦で完敗した。
▲写真 ミッドウェー海戦 出典:NAVY LIFE the official blog of the U.S. navy
この時点ではすでに、軍事電報の暗号も破られていたのだが、いわば二重暗号になっていて、電文自体を解読しても、肝心の攻撃予定地点が「AF」としか記されていないため、特定できなかった。そこで、米軍は一計を案じ、ミッドウェー島の守備隊が使っている海水蒸留装置が故障、という電報を、わざと暗号化しない平(ひら)文(ぶん)で打電したのである。数時間後、「AFは飲料水不足の模様」という日本軍の暗号電文が傍受され、解読された。攻撃予定地点が分かれば、待ち伏せも容易である。この結果、日本軍は虎の子の正規空母4隻を沈められる惨敗を喫し、以降、戦局はついに好転することがなかった。
連合艦隊司令長官・山本五十六大将の戦死も、情報が関係している。
▲写真 長門戦艦に乗る連合艦隊司令長官・山本五十六大将 出典:Ministry of the Navy
1943年4月に、激しい航空消耗戦が続いていた、ソロモン諸島の前線を視察・激励に出向いたわけだが、この時の長官のスケジュールが、米軍に筒抜けになっていた。結果、待ち伏せ攻撃によって、日本海軍は事実上の最高指揮官(制度上の最高指揮官は、統帥権を持つ昭和天皇)を失ったのである。
日本陸軍に至っては論外で、ガタルカナルやインパールがどのような場所なのかさえも知らずに、多数の歩兵部隊を送り込んだ、その結果が、本来の意味での戦死、すなわち敵の銃砲弾によって斃れた兵士より、餓死者の方がはるかに多いという事態だ。これがどうして「戦争の目的は正しかったが、物量の差で敗れた」という話になるのか、私にはまったく理解できない。
このような「作戦重視・情報軽視」と言えば聞こえはよいが(よくもないか)、事前の情報収集に力を入れずに、手前勝手な計略に基づいて行動を起こすという悪癖は、戦後の日本にも見られると述べたら、驚かれるであろうか。
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