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「兵隊は消耗品」で国滅ぶ 昭和の戦争・平成の戦争 その4

Japan In-depth / 2018年8月25日 0時38分


▲写真 天霧 出典:U.S. Navy


余談だが、ケネディはハーバード大学時代にアメリカン・フットボールの試合で腰を痛めていたため(相手の悪質タックル!)、海軍への入隊も一度は断念しかけた。そこにこの遭難で、戦後も長く腰痛に苦しめられたという。



▲写真 PT109に乗船するケネディ中尉 出典:U.S. Navy


もう一人はジョージ・ハーバード・ウォーカー・ブッシュ海軍中尉。息子も大統領になったので、区別のため「パパ・ブッシュ」「ブッシュ・ジュニア」と呼び分けられている。彼は母方の先祖が英国王室の外戚という名門の出だが、高校卒業と同時に海軍に志願し、アベンジャー雷撃機の搭乗員となった。



▲写真 ブッシュ海軍中尉が搭乗したアベンジャー雷撃機 出典:U.S. Navy Naval Air Station Jacksonville


そのブッシュだが、まず少尉時代の1944年6月、マリアナ沖海戦で日本艦隊への雷撃を試みた際、上空直掩の零戦の銃撃によって、中尉昇進後の同年9月には小笠原諸島・父島沖で地上からの対空砲火によって、いずれも搭乗機を撃墜されたものの、味方潜水艦によって救助されている。


戦後、あらためてエール大学に入学し、政治家への道を歩むこととなった。


将来、国を背負って立つと見なされていたエリート達が、最前線で魚雷艇や雷撃機を駆って戦うという、いわば一番危険な仕事を引き受けていたのである。……米軍を褒め称えるのか、などと言われそうだが、あくまでも第二次世界大戦当時の話である。


時代が下ってヴェトナム戦争の頃になると、たとえばブッシュ・ジュニアのようなエリートの子弟は、テキサス州空軍あたりに志願して、形の上で「国防の任」を果たし、貧しい階級の若者が徴兵されて、ジャングルに送り込まれた。


一般に米軍と呼ばれるのは連邦軍で、米国では各州が独自の法律を持ち、軍隊も組織している。つまり、ブッシュ・ジュニアは連邦軍で軍務に服した経験がない。その後、オバマにトランプと、軍歴を持たない大統領が続いたので、指摘する人も減ってきたが、当時は歴代大統領の中では希有な例だったのである。


ヴェトナムでの戦いは、戦争目的が曖昧なまま戦いが泥沼化したことと共に、こうした差別構造があったことで、今に至るも「史上もっとも不人気な戦争」との評価が定着してしまっている。エリートが、その地位にふさわしい責任感を示さなければ、国が傾くのだ。


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