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追悼 マケイン議員との忘れ得ぬ語りあい

Japan In-depth / 2018年8月28日 9時59分

私との会見ではマケイン議員はそうした自分自身の苦難はほとんど話さなかったが、ベトナム戦争自体の意味について力をこめて語った。大義という言葉さえ使った。南ベトナムという曲りなりにも民主主義の国家とその国民が、北ベトナムという共産主義の国家に軍事力で滅ぼされそうな状況をアメリカが軍事介入して救うことには大義があった、とも説いていた。ただその方法や戦略がまちがっていたというのだ。そして戦いが終わり、南ベトナムという国家が消滅した以上、アメリカは統一ベトナムといつかは和解しなければならない、とも力説した。


私は南ベトナムの人たちを多数知った体験から、アメリカの全面支援で北ベトナムの共産主義勢力と戦うことを奨励され、その「大義」を信じた一般の南ベトナムの国民が突然にアメリカからの支援を停止されたことの悲劇を説明した。北ベトナムが軍事面でソ連と中国の両方から豊富な支援を受け続けたのに対して、南ベトナムはアメリカの反戦世論のために米軍からの兵器や弾薬の支援までが激減したことの不均衡をも強調した。



▲写真 太平洋戦争で暗号戦に従事した退役軍人の話に耳を傾けるマケイン氏(2018年8月15日)出典:マケイン氏Facebook


マケイン議員はそんな私の主張にもまじめに耳を傾けていた。私はアメリカ連邦議会の上院議員が外国人記者である私のインタビューになぜここまで熱をこめ、長い時間をかけて応じてくれるのか、いぶかることもあった。その動因はやはりマケイン氏の内なるベトナムだったのだろう。ベトナムについて語りたかったのだろう。ただし議会や式典、記者会見の場などで、ときおり顔を合わせると、マケイン議員はいつも私を認めて、笑顔で「元気ですか」と声をかけてくれた。


これほどの親しみを感じさせてくれたジョン・マケイン上院議員に、日本ふうにいうならば、冥福を祈りたい。


トップ画像:ジョン・マケイン米上院議員 出典 マケイン氏公式ホームページ


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