新聞よ、おごるなかれ!
Japan In-depth / 2018年9月5日 17時43分
この8月中旬にはアメリカ各地の合計約350の新聞がいっせいに社説でトランプ大統領への非難を打ち出した。言論の自由や報道の自由の権利を訴える趣旨だった。だが同時にトランプ大統領やトランプ政権そのものを頭から否定する論調もきわだった。要するに存在してはならない大統領、そしてその政権という基調の全面否定の主張なのだ。
写真)メディア報道を批判するトランプ氏のtweet、2017年8月16日
出典)Twitter @realDonaldTrump
アメリカには全土で合計して1300以上の日刊新聞がある。そのうちの350だから大多数にはみえないが、主要新聞、有力新聞のほとんどが加わっていた。だから「アメリカの新聞全体がトランプ大統領を糾弾」という表現もそう的外れではないのだ。だがそれにしても新聞には本来、独自の主張や価値観があるはずだ。なのに、その大多数がまったく同じ趣旨の社説を申し合わせたように掲載するとなると、なにかそこにも違和感を覚える。
こんなことをいぶかっていたら、アメリカの新聞界のなかにも少数派とはいえ、いまのトランプ叩き一色の状態に懸念を表明する記者がいることを知って、ほっとした。アメリカの新聞の多様性というか、柔軟性、懐の深さ、価値観の多様さ、とでも呼ぶべきか。
ニューヨーク・ポストのベテランのコラムニスト、マイケル・グッドウィン記者が8月下旬に書いた記事だった。同記者のコラムはまずニューヨーク・タイムズのジェームズ・ローテンバーグ記者が2016年夏の大統領選挙戦で共和党候補にドナルド・トランプ氏が指名された直後に書いた記事を引用していた。
写真)ニューヨークポスト マイケル・グッドウィン記者
出典)NEW YORK POST公式HP
以下はグッドウィン記者のコラムの要旨である。(参照記事:NEW YORK POST)
「ローテンバーグ記者のコラムは『トランプ氏が共和党候補になったことで、これからニューヨーク・タイムズの選挙報道ではジャーナリズム上の”通常の基準“は適用されなくなる』と宣言していた。ニューヨーク・タイムズはリベラルの価値観を体現するメディアだから、トランプ氏のような反リベラルの候補に対しては報道上の公正基準を適用せずに、彼を嘘つき、人種差別主義者、国家反逆者のように扱っても構わないという宣言だったのだ」
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