「集中投資で需要維持を」第一生命経済研究所永濱利廣氏
Japan In-depth / 2018年9月9日 23時58分
「細川珠生のモーニングトーク」2018年8月25日放送
細川珠生(政治ジャーナリスト)
Japan In-depth編集部(石田桃子)
【まとめ】
・日銀、低金利政策は限界。持続可能な金融政策へ。
・政府はオリンピック後の需要維持、労働力確保、生産性向上に集中投資すべき。
・消費税増税判断は、景気と税収のバランスを考慮して行うべき。
2012年第2次安倍内閣が掲げ、スタートした経済政策「アベノミクス」。大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」を推進してきた。安倍政権がGDPや雇用といった様々な指標に基づいて成果を強調する中で、家計レベルでは景気改善が実感できず、行き詰まりの感も見える。
今回は、第一生命経済研究所主席エコノミスト永濱利廣氏をゲストに迎え、政治ジャーナリスト細川珠生氏が日本経済の今後について話を聞いた。
まず細川氏は、先月31日、日銀が長期金利上昇を容認したが、これは、アベノミクスの変化を表すものではないか、と問題を提起した。
これに対して永濱氏は、「今回の政策転換は、日銀の金融政策が限界に達したことを表している」と述べた。従来、日銀は低金利に誘導し投資を促す金融緩和政策をとってきたが、思惑通りに所得や消費が大幅に改善することはなかった。永濱氏は、今回の金利上昇容認を、低金利政策の副作用で利ざやが減少した金融機関に配慮した修正だとし、「持続可能な政策へのシフトダウンである」と分析した。
アベノミクスの初期段階のように、金融政策主導で景気を上向かせることは今や難しくなっており、第二、第三の矢に力を入れざるを得ない状況であるという。
細川氏が、家計レベルでの景気改善の実感がないことを指摘すると、永濱氏は、従来のアベノミクスに成果がないわけではないとしながらも、「短期的なデフレ脱却・経済正常化に効果的な財政政策が、財政規律を重視する立場からの反対により実行しにくくなっている」と政府のおかれている立場を分析した。
「とはいえ、国が集中投資をすることで、成長戦略へ繫がる好循環を作り出すことは必要なことだ」と細川氏は述べ、それについて永濱氏の意見を聞いた。
永濱氏は国が力を入れるべき分野を3つ挙げた。
1.2020年東京オリンピック後の需要維持
・オリンピックの後も外国人観光客を積極的に誘致する事。
・社会インフラの更新投資により建設関連の需要を維持する事。
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