質か価格か シンガポール和食事情
Japan In-depth / 2018年9月22日 20時5分
価格競争が厳しいのは、飲食店においても同じだ。酒税が高いシンガポールでは、各チェーン店がアルコール飲料の提供価格を競い合い、お客もその差を見逃さない。2017年12月には日本でも広くチェーン展開をする「串カツ田中」がシンガポールにオープン(クラーク・キー店)し、話題を呼んだ。日本の店舗でも提供している、サイコロのゾロ目が出たらハイボールが無料になる独自のサービスはシンガポールでも同様に提供しており、日本人だけでなくローカルの人々の間でも人気が高い。
▲写真 串カツ田中 クラーク・キー店 出典:串カツ田中HP
やはり、安さというのはシンガポールの人々にとって大きな魅力の1つなのだ。
■ 健康志向、本物志向のニーズも。
ただ、価格を安く設定すればそれだけで上手くいくかというとそうは問屋が卸さない。「熱しやすく冷めやすい」というのがシンガポールのカルチャーで、オープン当初は行列ができていたのに、数ヶ月後には店内がガラガラというのも稀ではない。安さの魅力というのは爆発的な威力を持つものの、なかなか長続きしないという厳しい現実もある。突然のライバルの出現で、より安い価格を強いられ苦しくなっていくという負のスパイラルにはまってしまう可能性があることも否めない。
そんな激しい価格競争のなか、その競争から抜けて、質やブランディングで勝負している店舗もある。たとえば、健康志向や本物志向に寄せている店舗などがそうだ。最近の健康ブームはシンガポールも例外ではなく、しかも富裕層が多く集まるシンガポールでは価格よりも質を重視する人々も一定数は存在する。そういったお客をターゲットに独自のコンセプトを打ち出し、一人S$300、S$400という高単価でありながらも、別の部分で魅力を発揮しながら経営を続けている店舗も少なくない。
安さか、質か。今後、この二極化がキーワードになってくると思われる。ただでさえ、選択肢に溢れている時代だ。どちらかに思い切って振り切ることも大切なのかもしれない。
和食は、世界に打って出られる日本の文化の1つ。アジアのハブであるシンガポールで和食がどのようなポジションを確立していくのか、今後も目が離せない。
トップ画像:イメージ図 出典 ACフリー画像
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