候補者討論会ファクトチェックその3 “辺野古にオスプレイ100機配備”は事実か?
Japan In-depth / 2018年9月30日 0時30分
「仮に長さ二百六十メートルの強襲揚陸艦を運用する場合、現在計画中の護岸の総延長約二百七十メートル全てに係船機能があるとしても、長さは不十分であります。当該岸壁は、強襲揚陸艦の運用を前提とした設計とはなっておりません。」(原田憲治防衛大臣政務官、2015年3月10日衆議院予算委員会第三分科会)
先ほどの事後調査報告書にも「護岸の一部(約200メートル)を船舶が接岸できる構造(係船機能付き)として整備しますが、恒常的に兵員や物資の積み卸しを機能とするようないわゆる軍港を建設することは考えていません」と明記されている。本当に係船機能付き護岸の長さが200メートルだと、赤嶺議員が指摘した強襲揚陸艦が接岸できる長さ(269.4メートル)を満たさない。
普天間にない、船舶が接岸可能な「護岸」が設けられることは事実だが、それが「強襲揚陸艦が接岸できる護岸」であるとは、現時点で断定できない。
(3) 普天間飛行場は滑走路一本だが、辺野古では二本のV字型滑走路になることは公知の事実である(「事後調査報告書」にも明記。ただし、滑走路の長さは短くなる)。だが、「オスプレイを将来100機配備することは元防衛大臣の著書の中でも明らか」という指摘についてはどうか。森本敏元防衛大臣の著書には、次のような記述がある。
「普天間基地の代替施設には、有事の事態を想定すれば100機程度のオスプレイを収容できる面積がなければならず、滑走路の長さだけで代替施設を決めるわけにはいかないのである。」(『普天間の謎 基地返還問題迷走15年の総て』海竜社、2010年7月、p.79)
この記述を見る限り、「普天間の代替施設には有事に100機程度のオスプレイを収容できる面積が必要」と言っているが、森本元防衛相は「辺野古に100機のオスプレイが配備可能」とは言っていない。
日本政府は、普天間の「オスプレイの運用機能」の移転を認めており(平成29年度防衛白書)、普天間に配備されている24機のオスプレイMV-22が辺野古に移転する可能性は高いとみられる。
ただ、「事後調査報告書」によると、辺野古に作られる駐機場の面積は24万平方メートルで、MV-22だけでなく、回転翼航空機のCH-53、UH-1、AH-1、固定翼航空機のC-35、C-12も配備予定とされる。米軍事情に詳しい西恭之・静岡県立大学特任助教にオスプレイ100機の配備は可能なのか聞いたところ、「普天間でオスプレイに割り当てられている駐機場のスペースから計算すると、辺野古の代替施設の駐機場にオスプレイのみ収容しても50機程度が限度。しかも、オスプレイ以外の航空機も配備しなければならず、有事には岩国に移転した空中給油・輸送機などが駐機場を使うことも考えれば、オスプレイ100機の配備は物理的に不可能だ」とコメントした。
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