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海自潜水艦は海南島中国戦略原潜を狙う

Japan In-depth / 2018年10月2日 9時30分

また、対日戦を避ける要素ともなる。「日本は戦時に戦略原潜を襲う」「沈められる可能性がある」と認識させればそうなる。中国は戦略原潜つまり対米抑止力の消耗喪失を恐れる。そのため対日戦に二の足を踏む。そのような効果を見込める。


これが日本潜水艦投入の理由である。


大きく見ればゲール・デ・クルース(巡洋艦戦略)と呼ばれる分散強要戦略だ。その視点からすれば中国海上輸送に潜在的脅威を与える効果もある。あるいは艦隊そのものに対潜戦を強要する効果もある。


ただし、期待効果の筆頭はやはり戦略原潜の不安全化と反応だ。なぜならゲール・デ・クルースとしての著効性も高いからだ。少数潜水艦の平時投入でもヨリ強い不安感と反応を引き起こせるのだ。



▲写真 中国戦略原潜094型。海南島を拠点としておりその保安が南シナ海防衛における焦点の一つともいわれている。撮影:SSBN-0-lover


■ 米海軍による先行


なぜそのように判断できるか?


先行例を模倣している形だからだ。米海軍もまた力の分散強要を試みている。南シナ海で中国戦略原潜に脅威を与え中国海軍力を消耗させようとしている。日本潜水艦の活動はそれに倣った形である。つまり目的も同じと考えてよい。


ちなみに米海軍にはオホーツク・アプローチの前例がある。冷戦時代、米国はソ連戦略原潜の聖地に攻撃原潜を送り込んだ。それでソ連に対応と力の分散を強要するアイデアである。


これは大成功した。ソ連艦隊の太平洋進出は鈍ったのだ。特にソ連攻撃原潜の太平洋展開数を大きく減らせた、これは高く評価されている。


それを南シナ海で同様の行動を行っている。


米海軍の目的は米国の海軍関連記事に示唆されている。


そして南沙を含む周辺海域の聖域化を追求している。これは常々述べられている。まずは「そこを狙え」と言っているようなものだ。


その行動も活発である。米海軍は音響観測艦や哨戒機、そして攻撃原潜を送り込んでいる。結果、衝突も発生した。例えば09年の音響観測艦インペカブルへの中国側妨害はそれである。



▲写真 インペカブル (音響測定艦)出典:US Navy, Military Sealift Command


日本の潜水艦運用も同じ効果を見込んでいる。そうみてよい。中国との正面切った対立は困難あるいは不利となった。このため従来の防御的態勢から一歩踏み出したのだ。米国に倣い中国に力の分散を強要しようとしているのだ。


 


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