米軍駐留の沖縄を羨む台湾
Japan In-depth / 2018年10月11日 1時13分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2018 #41」
2018年10月8-14日
【まとめ】
・台湾からみると米軍の抑止効果を弱めようとするのは沖縄の自殺行為。
・米中関係は外交的手段では修復不能になりつつあるのかもしれない。
・米国の中間選挙は「女性差別問題」が大きな争点になる。
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3週間前は米国の三都市、先々週は台湾に出かけたが、先週末からはここ沖縄に来ている。沖縄本島の南端に「百名伽藍」という素晴らしい隠れ家的宿があり、今回もそこにお邪魔している。宿泊料は決して安くなく、そう何回もは行けない所だが、お値段以上の価値はある。時間的、財政的余裕があれば、是非一度お勧めしたい。
さて、沖縄といえば先週知事選挙があり、普天間移設反対派の候補が勝利した。終わったばかりだからか、まだ大きな動きは見られない。嵐の前の静けさなのだろう。実は先週、日本の沖縄県の県知事選挙を台湾の台北から眺めるという、ある意味では主観的でも、客観的でもない視点で、小論を書いた。その一部をご紹介しよう。
▲写真 沖縄県知事に就任した玉城デニー氏 出典:玉城デニー氏Facebook
台湾は1972年のニクソン訪中以降、その島の安全保障そのものが重大な危機に陥ったが、現在もその状態は基本的に変わっていない。特に近年は、台湾との外交関係を打ち切る国が再び出るなど、この島は中国大陸からの有形無形の強力な圧力に晒されている。先日は台湾の在大阪事務所長(事実上の総領事)が中国からのフェイク情報が原因で自殺に追い込まれるという痛ましい例すら見られた。
今この島は米国との関係なしに現状を維持できなくなっている。米中国交正常化までは米華安保条約により米国はこの島を防衛する義務を負っていた。しかし、今米国の台湾防衛義務は、国際合意ではなく、台湾関係法という米国内法により担保されている。逆に言えば、この島から見ると、沖縄は国際約束である日米安保条約の下で米軍が駐留するという実に羨ましい存在に見えてくる。
今その沖縄には、米軍のプレゼンスがもたらす抑止効果を弱体化させようとする声がある。しかし、これを台湾から見れば、せっかくの抑止効果を自ら弱値化させることは自殺行為にすら思える。更には、日本本土の人々も日本全体の対外抑止効果に関する責任を応分に負担せず、沖縄県民だけに負荷がかかっていることも事実だ。
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