失踪ジャーナリスト報道の違和感
Japan In-depth / 2018年10月18日 0時0分
米国主要メディアは連日大騒ぎだし、連邦議会も超党派でサウジを厳しく批判し始めた。当初煮え切らない発言を繰り返していたトランプ氏ですら、10月14日にはCBSのインタビューに答え、ジャーナリストの殺害が真実ならば、米国はサウジに対して「深刻な罰」を与えるだろうと発言している。サウジは何を勘違いしたのだろうか。
▲写真 トランプ米大統領のサウジアラビア訪問に同行したクシュナー氏(左から2人目)。ムハンマド皇太子の姿も(同4人目)。2017年5月20日 リヤド 出典:The White House flickr
米国識者の中には、サウジ皇太子と特別な関係を維持してきた大統領娘婿のクシュナー氏が同皇太子を「大胆にさせた」張本人ではないかと批判する。この事件については今週のジャパンタイムズに英語でコラムを書いた。ご関心のある向きはご一読願いたい。
〇 欧州・ロシア
今週も大きなニュースはない。懸念すべきは14日のドイツ・バイエルン州議会選挙で、同州を地盤とする国政与党のキリスト教社会同盟(CSU)が歴史的大敗を喫したことだ。CSUの得票率は前回より10%程度下落、逆に、極右政党AfDが得票率10%で初めて議席を獲得した。メルケル政権にとっては危険信号である。
▲写真 メルケル独首相 出典:Angela Merkel facebook
〇 中東・アフリカ
サウジジャーナリスト失踪事件を受け、経済界にも激震が走った。Virgin Groupはサウジ公的投資基金との紅海観光関連投資案件協議を停止。10月23日にリヤドで開催予定のサウジ皇太子主催投資会合にはCNN、New York Timesは勿論、JP Morgan、Ford、日経新聞、世界銀行までが参加中止を発表したという。
それでもサウジ政府は強気で、「このような脅しを完全に拒否し、より強力な行動で応じる」と述べたそうだ。筆者のこれまでの経験からサウジが態度を変える可能性は低い。しかし、これまでとは異なり、今回の事件はやはりレッドラインを超えている。これに気付かないサウジ王家はいずれ、しっぺ返しを受けるに違いない。
〇 東アジア・大洋州
13-21日に韓国大統領がフランス、イタリア・バチカン、ベルギー、デンマークを訪問する。先般の南北首脳会談を受け、北朝鮮との関係改善を働き掛けるのだとすれば、大きな勘違いだ。現在の韓国大統領は根っからの「反米」「米朝戦争巻き込まれ反対」派なのだろう。こうした「革新系」が政権を握るとこうなってしまうという典型例だ。
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