バリ島を辟易させる中国人団体観光客
Japan In-depth / 2018年10月24日 19時0分
大塚智彦(Pan Asia News 記者)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・超格安ツアー中国人観光客が押し寄せ「神々の島」バリは困惑。
・地元に金を落とさず、中国人同士だけが潤う構図が浮き彫りに。
・痰吐き、唾吐き、大声。バリ州知事は「質のいい観光客に来てほしい」
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インドネシアの国際的な観光地バリ島が今揺れている。近年多く同島を訪問する中国人観光客が新たな問題を起こし、州政府をも巻きこんだ「観光客のあるべき姿」論議に発展しているからだ。
バリ島を擁するバリ州の最大の産業は観光産業であり、同島を訪れる観光客はインドネシア政府の2017年の統計で年間586万人に達し、最大人数を占めるようになったのが中国人観光客で約136万人、2位のオーストラリアの106万人を大きく上回っている。
バリ島では最近、島の各地に中国語表記の看板、メニューを備えたレストラン、中国人が経営するお土産物屋、旅行代理店、バス会社、ツアーガイドが溢れ、島の至るところに中国人観光客が押し寄せるようになった。
基本的なマナーや行儀の問題は各所で物議を醸してはいるものの、基本的に観光客の増加はバリの人々にとっては「熱烈歓迎」のはずだった。
ところが、昨年来、格安ツアー、それも超格安のツアーでバリに来る中国人団体客が急増し、その一方で地元に「落とすお金」が減少する状態になっているという。
バリ観光協会や観光業者によると、中国人が参加している格安団体ツアーは往復航空券、ホテル5泊分を含めて200万ルピア(約1万6000円)という安さだという。
さらに最近は航空券、4泊5日分のホテル代込みで、なんと60万ルピア(約4800円)という信じられない超格安のツアーが販売されているという。
■バリに全く利益をもたらさないシステム
こうした超格安ツアーでバリに到着した中国人団体観光客は、ホテル1部屋にエキストラベッドを8個入れて約10人がそこで寝泊まりするという。
日本と異なり、ホテルの宿泊料金は人数ではなく部屋にかかるため、一部屋を1人で使用しても2人で使用しても料金は変わらない。通常は人数が増える場合は部屋内にエキストラベッドを入れる。バリ島の場合エキストラベッドは1台で平均5万ルピア(約400円)なので、8台入れても40万ルピア(約3200円)でしかない。
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