日中の真の問題は語られず
Japan In-depth / 2018年10月30日 16時45分
次は、富士山会合について。先週東京で開かれた同会合は日米の政治家、政府・軍幹部、学者、研究者、ビジネスパーソン、ジャーナリストなど150人以上が一堂に会するフォーラムであり、今年で五回目となる。以前は1960年代から10回開かれた「下田会議」があったが、富士山会合はある意味で下田会議の精神を引き継ぐものだ。
今回参加してつくづく思ったことは、昔筆者が若造だった頃に仰ぎ見ていた日米政府高官が第一線を退く中、以前は鼻たれ小僧だった若者が今や第一線にいるんだな、ということ。要するに、自分が年を取っただけなのだが、当時日米関係を仕切った老兵たちは今のトランプ政権の登場をどのように見ているのだろうか。
〇東アジア・大洋州
今週日本での最大の注目点はシリアで3年以上拘束されていた安田純平氏の解放だろう。同氏の解放に対しては、半ば英雄視する向きもあれば、自己責任論で批判する声もある。しかし、安田氏は腐ってもジャーナリスト、自己責任は当然と思っているはずだ。一方、彼が英雄でないことを最もよく知っているのは彼自身ではないか。
〇欧州・ロシア
28日のドイツ・ヘッセン州議会選挙では、前回の選挙で勝利したメルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)が大きく議席を減らし敗北した。先般のヘッセン州議会選挙でもCDUの友党が敗北しており、このままでは首相交代を巡る議論が加速するかもしれない。メルケル政権の危険信号が始まったと言って良いだろう。
写真)ドイツ・メルケル首相(2018年10月15日 ベルリン)
出典)ドイツ政府ホームページ
〇中東・アフリカ
サウジジャーナリスト失踪事件は未だ解決していない。サウジアラビアの対応はちぐはぐで、とても見てられない。イスタンブールのサウジ総領事館は録音スタジオなのか、あらゆる音が盗聴されていたようだ。これがサウジ諜報機関の実力なのか、それともトルコの情報戦があまりに優れているのか。トルコのサウジ叩きは当分続くだろう。
〇南北アメリカ
28日のブラジル大統領選挙決選投票で、極右ポピュリストの元軍人ボルソナロ候補が勝利した。昨晩は珍しく、ある放送局のワイドショー番組からブラジルについて取材を受けた。ブラジルでもナショナリズム・ポピュリズムの嵐が吹き始めたということか。恐ろしいことである。
恐ろしいと言えば、ピッツバーグのシナゴーグで乱射事件があり、11人が犠牲になった。「遂に来るべきものが来た」という印象を持つ。日本での報道は「米国で再び銃の乱射事件が発生」程度だったが、これは反ユダヤ主義の恥ずべき犯罪だ。この事件を自分自身の問題として捉えないと、今の米国の病理は理解できないだろう。
写真)ブラジル大統領選で勝利したジャイル・ボルソナロ氏
出典)Jair Messias Bolsonaro facebook
〇インド亜大陸
28-29日にインドのモディ首相が来日したが、安倍首相はインド首相を河口湖の自身の別荘に招待したという。日印関係の進展を象徴するようなエピソードだが、これ以外に特記事項はない。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
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