ねじれた米国「トランプ劇場」続く
Japan In-depth / 2018年11月14日 0時42分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2018 #46」
2018年11月12-18日
【まとめ】
・米中間選挙、トランプの突飛な言動・共和党の右傾化で世論のバランス感覚働く。
・国内はロシアゲートをめぐり混乱深刻化、外交では強硬な姿勢続く。
・ロシアゲートから注意そらすため、非常識な外交政策行う可能性。
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先週の米中間選挙、あまりサプライズがなかったことがサプライズだった。米国民主主義の健全なバランス感覚が働いたのか、勝敗は痛み分けだった。こうこなければ困る。別に予想屋になった訳ではないが、2年前はトランプ氏の当選を断言できなかった。その時のショックに比べれば、今回の結果はほぼ想定内で一安心だ。
想定内の結果に終わった理由を幾つか考えてみた。第一は、いわゆる「隠れトランプ」票が今回あまりなかったらしいことだ。勿論、「隠れ」だから、統計などある筈はない。だが、2年前に比べれば、米国の政治産業もトランプ現象に慣れてきたのだろう。より正確な予測が可能になったらしいことは一歩前進である。
第二の理由は、トランプ氏の言動があまりに突飛であり、さすがの米国白人中間層のトランプ支持に陰りが見えてくるだろうことが十分予測できたからだ。実際に、出口調査を見ていると、郊外に住む中間層、中でも女性票の伸びが大きかったらしい。今回女性議員が多数当選したのも、「逆トランプ」効果だったのだろう。
▲写真 今年1月20日に行われたウィメンズ・マーチでトランプ大統領を批判する女性 出典:flickr Marc Nozell
第三に指摘できるのは、共和党の「トランプ党」化現象である。これまで米共和党は、ティーパーティ運動など様々な保守的動きはあったものの、基本的には多くの「中道保守」「センターライト」系の分別と良識のある議員が主導してきた。だが今回は、「センターライト」はほぼ消滅してしまった。その象徴がマケイン上院議員の死である。
トランプ氏は共和党内で圧倒的な影響力を持つに至ったが、その分、党全体は右傾化し、結果的に上下両院では議席を大幅に減らしている。上院では過半数を維持したというが、合衆国憲法で各州の上院議員数が2人とされている以上、現時点での上院での共和党の優位は変わらない。されば、共和党にとって今回は大勝利ではない。
Those that worked with me in this incredible Midterm Election, embracing certain policies and principles, did very well. Those that did not, say goodbye! Yesterday was such a very Big Win, and all under the pressure of a Nasty and Hostile Media!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2018年11月7日
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