光るペンス副大統領の信頼感
Japan In-depth / 2018年11月21日 14時20分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2018 #47」
2018年11月19-25日
【まとめ】
・APEC首脳会議でトランプ氏不在はかえって良かった。
・安定感のあるペンス副大統領は、トランプ政権に必須。
・APEC首脳宣言流れた訳は「議長国力不足」と「米中せめぎ合い」。
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先週末パプアニューギニア(PNG)で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議では史上初めて首脳宣言が採択されなかった。その会議に米国を代表し出席したのがペンス副大統領だ。トランプ氏が出ないで良いのかと聞いてきたジャーナリストがいた。トランプは出ない方が良かったと筆者が答えたら、先方は驚いていた。
当然だろう。トランプ氏は元来多国間会議が大嫌いだ。その彼が嫌々出席して、あまりの不愉快さ故に衝動的妄言を繰り返したら、東アジア諸国、特に中国に間違ったメッセージを送ることになる。今回のAPECは米中「貿易戦争勃発」後最初の会合だから極めて重要。ペンス副大統領が出席した方が間違いはないということだ。
その理由は簡単、ペンス氏は事務方の準備したtalking pointsを真面目に繰り返すだろうからだ。今、米政府の事務方が積み上げた公式の外交政策を、判り易く、しかも正確に代弁できるのはペンス氏しかいない。トランプ氏が即興で喋り始めたら何を話すか判ったものではない。という訳で、今週はペンス副大統領に焦点を当てたい。
ペンス副大統領は1959年インディアナ州生まれ。アイルランド系カトリック教徒だが、共和党内ではエヴァンジェリカル系の保守派に属する。弁護士で、連邦下院議員を6期、インディアナ州知事を1期務めた。州知事時代は現地日米協会の会合にもよく顔を出すなど、日系企業の誘致や雇用促進に取り組んでおり、日本とは縁が深い。
写真)ペンス副大統領3度目の来日
出典)在日米国大使館・領事館
個人的な面識はないが、人柄は真面目で安定しているようだ。2016年、トランプ氏が共和党の大統領候補指名を受けた際、イヴァンカ夫妻が副大統領候補として最も強く推したのがペンス氏だったという。トランプ氏のような破天荒な人物には、ペンス氏のような、面白みはないが、確実で信頼度の高い人物が必要だったのだろう。
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