拉致「空白の20年」の教訓
Japan In-depth / 2018年11月24日 23時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・横田めぐみさんの弟の横田拓也さんが11月17日講演。
・日本の官民が拉致問題を無視した「空白の20年」への憤り表明。
・国民守る意思の欠如、軍事力行使タブーとする事なかれ主義が背景。
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13歳の少女だった横田めぐみさんが北朝鮮工作員に拉致されて41年、弟の横田拓也さんが11月17日の講演で姉への思いを切々と語るとともに、日本の官民が拉致問題を無視した「空白の20年」への憤りを改めて表明した。
▲写真 横田めぐみさん 昭和52年(1977年)当時 出典:北朝鮮による日本人拉致問題
同17日、新潟市ではめぐみさんの母の横田早紀江さんが、もう1人の弟の哲也氏とともに拉致事件解決を求める集会に出て、挨拶をした。この集会には安倍政権で新たに拉致問題対策を担当することになった菅義偉官房長官も出席して、日本政府としての一日も早い事件の解決を誓った。この集会の模様はほぼすべてのメディアによって報道された。
だが同じ日のほぼ同じ時刻、横田拓也さんが首都圏の千葉県柏市にある麗澤大学で同様に拉致問題の解決を求めるスピーチをしたことは一般にはほとんど伝えられなかった。拓也さんは単に拉致被害者の家族だというだけでなく、「家族会」、つまり「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」の事務局長という立場にもある。その彼のこの日の演題は 「拉致問題を考える」とされていた。
その講演の場は麗澤大学の社会人教育の一環「麗澤オープンカレッジ」だった。地域社会の一般人を対象とした教育や研修の組織である。この日は200人近くが集まった。拓也さんはまず拉致問題とはなにかを説明するために横田めぐみさんの家庭環境や突然の失踪、そしてやがて北朝鮮の工作員の犯行だと判明していく過程を横田家の家族の悲しみや苦しみに焦点を合わせながら描いたビデオを映した。
満場が衝撃を受けて、涙をぬぐう人たちも出るなかで、拓也さんは話を始め、家族たちにとって最もつらかった時代として「空白の20年」という表現を使った。めぐみさんが拉致されたのは1977年11月15日、それ以降の20年ほどの間は、日本全体が拉致を認めない時代が続いたというのだ。
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