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拉致「空白の20年」の教訓

Japan In-depth / 2018年11月24日 23時0分

拉致事件からちょうと20年後の1997年はじめ、元北朝鮮工作員で脱北者の安明進氏の証言により横田めぐみさんら日本人が拉致され、北朝鮮に捕らわれていることがほぼ確認された。同じ時期、衆議院で新進党の西村眞悟議員が予算委員会に「北朝鮮工作組織による日本人誘拐・拉致に関する質問主意書」を提出し、初めて横田めぐみ拉致事案を取り上げ、政府の認識を問うた。このことから北朝鮮による日本人拉致が認められていく。



▲写真 西村眞悟衆議院議員 出典:@tokyooffice3


横田拓也さんはこの日の講演でその拉致の認知の前の「空白」、さらには認知された後の苦労をいろいろと語った。



「姉たちが北朝鮮工作員に拉致されたことが確実となってもなお外務省の幹部たちは認めず、認めてもなお『数人の日本人の消息のために北朝鮮との国交樹立を遅らせてはならない』などと冷酷な言葉を浴びせていました」


「街頭で通行人に北朝鮮による日本人拉致を訴えても、大多数の人はまったく無関心で、政府への調査の嘆願の署名にも応じてくれず、なかには『そんなデマを広げるな』とののしって、私たちの署名を求めるための台などを壊していく集団もいました」


「マスコミも北朝鮮による日本人の拉致を示す証拠や証言が明らかになってもなお、長い期間、無視を続けるところがほとんどでした。私たちをむしろ朝鮮民族に偏狭な反感を抱く過激な集団であるかのように描くところもありました」



拓也さんはいまもなお悔しさをにじませて、「空白の20年」の自分や両親たちの悲惨な思い出を語るのだった。



▲写真 横田早紀江さんら拉致被害者御家族と面会する安倍総理。平成30年6月14日 出典:首相官邸


だがなぜそんな「空白」が長く続いたのか。同じ日本人が外国政府の工作員に不当に連れ去られ、なおむごたらしく「凍土の共和国」に拘束されたままなのに、そうした被害者の救出を求める日本人家族の悲劇をなぜ無視し、非難までしたのか。


この点については横田拓也さんは、日本の戦後の国のあり方のゆがみ、自分たちの国家や国民を守ろうという意思の欠如、暴力で連れ去られた自国民を救うためにでも軍事力の行使や保有はいけないという事なかれ主義など、日本国の欠陥を列記したのだった。北朝鮮による日本人拉致事件の最大の教訓の一つはこのあたりにあるのだといえよう。


トップ画像:横田拓也氏 麗澤オープンカレッジで講演し、質疑応答にのぞんだ横田拓也氏。2018年11月17日 ©古森義久


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