中国系企業有害物質垂れ流し ラオスで環境汚染
Japan In-depth / 2018年12月11日 21時31分
▲写真 ラオスの水牛(2009年)出典:Paulrudd
■ 別の地方でも同じような被害報告
また2018年5月には、ビエンチャンに隣接するラオス経済特区のひとつであるサイセタ総合開発区にある地区で多くの牛が原因不明の異常死する事案もあった。
同開発区に近いバン・フォック・ノイ村では四肢を硬直させた状態などで41頭の牛が死骸で見つかったほか、4月にはバンナ・ビアネ村、バン・ポン・トン村などで81頭の牛が同じように原因不明で死んでいる。
共通点はどの村も近くに流れる川があり、この川の上流に位置する開発区内の工場から廃液が川に垂れ流しにされているということで、地元当局、政府機関が現在原因を調査しているという。
サイセタ経済開発区はデベロッパーが「ラオ中国総合投資有限会社」という会社で中国資本が入っている。当局では「開発区にある全ての工場が川に流している廃液を調べて、原因が特定された場合は、その会社に被害に遭った牛の所有者への弁償を求めることになる」と責任を追及する構えをみせている。
▲写真 セイセタ経済開発区 出典:Yunnan Provincial Overseas Investment Co.,LTD.
バン・フォック・ノイ村では3、4年前に牛の異常死が続いたが、近くの工場が閉鎖されたらそれ以降は異常死がなくなった例もあるという。同村ではその時以来、川の水が汚染されているとして、住民が川の水を飲料とすることや川水での水浴びをすることをやめてという。
ラオス南部のセポン地方では中国系の製紙工場から川に有害物質が垂れ流され、牛の他に川魚、水中生物が次々と死んでいるとの報告もあるという。
▲写真 魚の大量死(イメージ) 出典:Frickr; Susan Frazier
■ 「質の高い投資者を」と政府に要求も
ラオス人の海外投資に関する専門家はRFAに対し匿名を条件に「政府は海外からの投資、工場進出に際し、それが地域住民にどのような影響を与えるかを最優先で考えるべきであり、その工場などが国内法に触れた場合は直ちに許可を取り消すなどの厳しい対応を取るべきだ」と話している。
さらに具体的な国名を挙げることは控えながらも「海外の企業や工場にはラオスの法を守らず、2回、3回と改善を促しても同じ過ちを繰り返すことが多い。政府はもっと質の高い投資者、企業を探すべきだ」と指摘している。
ラオスのNGOなどによると、海外の工場の環境汚染は河川への有害物質垂れ流しだけでなく、農園などで使用される殺虫剤や除草剤、化学物資の影響でラオス人労働者が頭痛やめまい、皮膚の疾患などの被害に遭うケース、そして今のところ数は少ないものの病死の例も報告されているという。
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