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韓国船に偽装の不審船、北朝鮮領海で消える

Japan In-depth / 2018年12月12日 18時39分

この船は、韓国船籍のトロール漁船・ゴールデンレイク801号で、登録排水量は351トン、長さが51.41mとなっているが、実際は日本で600トン近くに増トン改造されていた。MMSI(国際識別番号)は、440687000だが、440は韓国船籍を表し、000は国際航海ができることを表している(00は韓国領海内航海)。


この船の航跡を追跡したところ、アフリカのギニア・コナクリ港(*2)を9月4日の午後7時51分に出港している。1カ月で25,000kmを航海したことになるが、速度が異常に速いと言える。通常漁船の最大速度は10.3ノットぐらいだが、この速度で25,000kmを航海すると最速(24時間休まず航海)でも55日間かかる。ところが、この船は2倍近い速度で韓国領海に入った。現実には軍艦でない限り不可能なことだ。


この船の動きでもう一つおかしなことは、午後10時ごろ韓国領海白翎島(ペンリョンド)から16kmの地点で一度黄海に出て170度の急旋回で長山串沖7kmに到達し、姿を消したことである。170度の急旋回は通常あり得ないことだ。


 


■ 不審船は廃船となった韓国漁船に化けていた


この船の所有会社の電話番号にかけてみたところ、一般家庭の電話につながった。登録所在地が釜山チャガルチ市場のビルの504号室となっていたので訪ねたところ、全く別の会社が入っていた。株式会社ゴールドレイクは2009年9月30日に不渡りを出して倒産し、存在しない会社だったのだ。


そこで会社が倒産した後この船がどこに転売されたかを、この会社を知る漁業関係者にインタビューしたところ、韓国では150トン以上の漁船は採算が取れないので中国に売られたのではとの答えが返ってきた。中国は北朝鮮の漁業権を買い取っているので、それもありうるかと思われたが、その後引き続き調査した所、実は不渡りを出した時点でアフリカ西海岸のラス・パルマスに停泊していたので、そのまま他の会社に渡っていたのである。


ゴールデンレイク社の元現地職員を探し、電話でインタビューをしたところ、次のような回答がメールで返ってきた。


「社長様こんにちは。ゴールデンレイクは801号と803号があったのですが、801号は当時ラス・パルマス(*3)に行って出航できずに係留されていました。結局代理店が古鉄業者に売り払い、ラス・パルマスの南側港湾で廃船処理されました」。ゴールデンレイク801号は、物理的にも完全に消滅していたのである。


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