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仏デモ、社会の不満が根底に

Japan In-depth / 2018年12月14日 9時41分

 


また、もともと一部では反マクロンを目的としているグループもいることは確かだろう。フランスのテレビTF1によると黄色いベスト運動に参加している人の42%は、大統領選挙一回目の投票の時に国民戦線党首マリーヌ・ル・ペン氏に投票した人たちであり、マクロン氏に投票した人の割合は5%のみと言うことだ。また、同じく、黄色いベストの人たちは、低所得者の労働者と言われているが、実は、黄色いベスト運動の参加者の13%は高学歴や、管理職だと言うのだ。


 


 


写真)マリーヌ・ル・ペン氏


出典)Emmanuel d'Aubignosc (Public Domain)


 


そのように、黄色いベストの運動と言っても、最終的に何を目的としているのかもはっきりしないまま、12月8日にはまた新たなデモが行われた。デモには10000人参加したとされ、前回の8000人を超える人数が全国から集まったのである。


 


そして、大規模なデモが開催されることで、便乗して破壊や略奪をする暴徒も集まり、パリでは、また、激しい闘争が繰り返されたのだ。この状況はいつまで続くのかは現在のところ、だれも予測できていない。


 


筆者も、8日は、パリではないが地方で行われている黄色いベストのデモに参加してみた。そこでは模範的な黄色いベストの活動を行っている人たちが集まっており、フランスが伝統としてきた正統なデモが行われていた。しかし、集まった人たちを見ていると、労働総同盟(CGT)もいるかと思えば、エコロジーのプラカードを持っている人もおり、あらゆる主張が違うグループがより集まっていることが見て取れる。


 


デモの集会の中では、マイクを持っている人が座ること求められる場面があった。すると、先日行われた高校生のデモで、破壊行為をしたため警備隊に頭に手を置いてひざまずかせられた映像が問題になったことをなぞり、同じポーズを取る人もいたのだ。このポーズは現在フランス全体でも、反権力の象徴的ポーズのように扱われている。


 


小さい街でのデモではあるが、それなりに広場を埋め尽くすほどの人が参加し、音楽隊も参加しているせいか活気があり、集まっている群衆の中に居ると、気持ち的にも盛り上がるのを感じる。


 


しかしながら、その場から一歩離れてみると、そこには違う世界が広がっていることに気がつく。デモの一画の周りでは、クリスマスの買いものをする人々で溢れているのだ。しかもその人数は黄色いベストのデモ参加数よりも何倍も多い。いそいそと買い物をしながら、黄色いベストの集まりをちらりとは見るものの、そのまま立ち止まることなく通りすぎていく。このような一般の人と黄色いベストの人たちとの温度差に、あたかもマクロン政権が解消したいと考えていた社会の分断が見えたかのようにも感じた。


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